パソコン大好き少年が、盗まれた自分のパソコンを探すお話
『サーチ』『アンフレンデッド』が制作されるより前に制作された全編パソコンのデスクトップ画面の映画。多分このジャンルの中では最も古い映画なのか？
物語はただ主人公がクラスメイトに「お前俺のパソコン盗んだ？」と聞いて回るだけ。起こることと言えば本当にそれだけしかない。
そもそも物語の導入までが長く冒頭は学生たちのパーティのノリを見せつけられるだけで、物語が始まってからもあまりにもパッとしない展開に辟易しそうになったものの、見ているうちに次第と面白くなってくるのが意外だった。何故か分からないが、本当に途中から面白くなってくる。「クラスメイトに聞いて回るだけ」という起承転結も何も無いような物語で、さらにただ自分のパソコンを無くしただけなはずなのに、そのパソコンを取り戻したいがために段々と暴走していく主人公の姿が異様に面白いのだ...！！
しかも全編PC画面上の映画ではあるものの、PC画面になっている理由付けは一切無く、そもそも何故PC画面になっているのか分からないのも意外だった。『サーチ』も『スプリー』も、この手の映画は「操作する人間」が居て初めて成り立つものなのに、本作ではそれが一切明かされないし、物語に関わることも無いし、そもそも「操作する人間」自体存在していないのだろう。
画面内に映される映像は劇映画の映像そのものであり、本作は言ってしまえば劇映画の映像に煩わしいパソコンのアクセサリーを画面上に配置しているだけに過ぎない。
時計、メール、電話、その他諸々のアクセサリーを配置したりPCらしい演出を入れたりすることで全編PC画面の体裁を保っているものの、結局映像自体は劇映画と何も変わらない。それが本当に意外で驚いたものの...見ているうちにその独特な構成にも慣れてくるから驚く。
2011年制作だからかパソコンに古さを感じられる。SkypeのUIが画面全体に広がっているような感覚。制作当時は間違いなく意図されていなかったのだろうけど、今見たらこの画面に少しノスタルジーも感じられるから面白い。
決して上手い映画では無いしダメ気味な映画ではあるものの、主人公が持つ異様な熱気にやられた。面白かった！！
