豚肉丸

犯罪者たちの豚肉丸のレビュー・感想・評価

犯罪者たち(2023年製作の映画)
4.3
共通テストが終わりました‼️

労働が嫌になった銀行員の男が金庫から金を盗み出し、同僚に盗んだ金を預ける。男は自ら自首して捕まったものの、それは計画の一部で...というお話

クライム映画かと思いきや物語は本筋である「犯罪」から次第に横滑りし、様々なジャンルを横断しながらオフビートなバカンスと恋愛劇に移っていく。一つ一つの細かなエピソードを積み重ねて1つの物語として描くような構成の物語なのだが、その細かなエピソードにオチが付かないまま次へ次へと移っていく。そのように本作はかなり流動的な作りとなっており、その調子で3時間続くのだから曖昧で退屈な感じが拭えなかったが、唐突に表示されるエンドロールを見て思わずハッとさせられた。「労働」=資本主義社会のアンチテーゼとして主人公の役割は与えられているのだが、「労働=社会から逃げ出す」ことを片田舎への逃避に接続することによって映画のテンポ自体が主人公の思想を反映している。意味の無いバカンス、風景ショット、停滞したパンショットの繰り返しはそのままスローライフの描写に還元され、中盤からの停滞感や退屈さは映画それ自体が意図した演出となっている。

その挑戦的な作りのため決して面白いとは言い難い内容ながらも、シュールな描写が所々に見られユーモラスな雰囲気が全体を包んでおり、長さと退屈さは感じるもののなかなか面白かった。
豚肉丸

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