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春画先生のmuscleのレビュー・感想・評価

春画先生(2023年製作の映画)
5.0
・口を押さえる、ど正面でこちらを向く。あの口を押さえた安達祐実でおおーっとなってしまう。
・うらぶれた女になって街中を彷徨うところも凄まじい。トリュフォーのイザベルアジャーニみたい。移動ショットで繰り返すのもダサくない。不思議と『千年女優』とか思い出した。題材も似ている。全然こっちのが上手いけど。
・墓SM、『死ぬほどセックスしてみたかった』を否が応でも思い出しますね。
・カーブを曲がりながら橋を渡る、その向こう側を通過する電車、起き上がりの二重のアクション繋ぎ、これでもかって編集の妙を見せつけられる。

・かつお節をけずる、スライドされる春画、「君は深い、奥が深い、まるで春画のようだ」 というセリフの底抜けな浅さ、平面をひたすら滑空しながらラストは的に挿さる。いくらでも書けてしまう嬉しさ。だから日本家屋のレイヤー運動に『千と千尋』と『トトロ』を思い出したり。アニメ的な平面の動きを実写で真剣にやってくれるのが嬉しい。ステディカムで役者の後ろを追ったり主観でやるだけが実写映画じゃないんすよっていう。

・くどすぎない塩田監督のカラッとしたユーモアが『麻希のいる世界』とか過去作以上に伝わりやすくて、これはギャグなの?って観客を戸惑わせることもなく、ウェットすぎず、まさに「春画」それ自体と合ってるとすら思ったけど、批判する人たちの気持ちもわかる。けど、、そういう人たちの思い入れたっぷりの重い映画なんか見たくもないって思ってしまう。こういう映画こそ積極的に擁護したい。

・地震が起こる映画は名作多めだと勝手に思ってる。
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