秋のコーラ

女王陛下の007の秋のコーラのレビュー・感想・評価

女王陛下の007(1969年製作の映画)
4.4
007シリーズには、1つのお約束というか、とある流れがあります。それは、「前作でやりすぎたら、次作は割と現実的になる」
5作目「二度死ぬ」の次の本作、11作目「ムーンレイカー」の次の「ユア・アイズ・オンリー」、20作目「ダイ・アナザー・デイ」の次の「カジノ・ロワイヤル」が良い例。
そんな、シリーズ6作目「女王陛下の007」です。

ボンド役は、コネリーに代わってジョージ・レーゼンビー。意気揚々と撮影に臨んだ彼の思いとは裏腹に作品はコケてしまい、残念ながらレーゼンビーボンドは本作のみ。
しかし!!本作は語るべきことが沢山ある、正に「早すぎた名作」。ベスト・オブ・007に挙げるファンも少なくない、サスペンスアクションの傑作です。

話したいことは色々とありますが、止まらなくなるので2点だけ。
まず1つ目は、雪を使ったアクションの発明。後にシリーズでも定番となるスキーアクションを初め、ロープウェイのサスペンス、雪上カーレース、クライマックスのボブスレーファイトと、これでもかと雪山を活用した見せ場のオンパレード。
それもそのハズ、敵のアジトは雪山の頂上にあるのです!このビジュアルは「キングスマン2」で盛大にオマージュが捧げられていて、ロープウェイを舞台にした一悶着も共通していますね。

そして、ファンの間で語り継がれる伝説のラスト。観る度に胸が締め付けられる、スパイ映画としては異色のエンディングが待っています。
ボンドとテレサの刹那的な幸福の時間が本当に愛おしいです。

ユーモアセンスや紳士の余裕が売りで人気だったコネリーと比較すると、若くて一生懸命さが滲み出てるレーゼンビーが当時受け入れられなかったのも、納得はできます。時流って大切。
ファンで無ければスルーされがちな本作。でも、実は魅力がふんだんに詰め込まれた、隠れた大大大傑作なのです。


R.I.P.ダイアナ・リグ
やばい、泣きそう。
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