そーる

アポカリプトのそーるのネタバレレビュー・内容・結末

アポカリプト(2006年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

よくここまで撮影したなと。
森の中のリアリティと緊迫感、
都市についてからの絶望感はとても良く描けていた。
見たこともないお面をつけた男や
身体中黄色に塗りたくられた男。
女達も皆服を着て衣服を織っている。
見たこともない光景、壁画には青く塗られた自分達が生贄に捧げられることを暗示していた。
ひとつひとつ注意深く見るとよく凝られている。
例えばどんな階級制度なのかは分からないが、分からない人でも『きっとこの人が偉いんだろうな』と想像つくようなスタイリングがされておりちゃんとフィクションとして成り立っている。

疫病に冒された少女の予言を聞き傭兵達はたじろぐが、
その通りになる。

しかし思うにもともと森を支配、共存して来た主人公らしい彼なりの戦いをしただけの話。

父が言っていたセリフがここで効いてくる。
『恐怖に冒されてはならない。魂に巣喰いそれは伝染する。』と。
まさしくその少女の予言らしい言葉を鵜呑みにし、傭兵達は恐怖に巣喰われてしまった。
対して主人公は恐怖に勝ち、
自らの手で不遇を断ち切った。

約2時間、この戦いを見させられたあとに
船でこの地に訪れた西洋人達のシーン。
たった数分なのにこの文明の差を見せつけられただけで、
異国の地からやってきた西洋人への畏怖と、
こんな壮絶な戦いをして生き抜いたのにそれすらも海の外の域へ出ない他愛もないことかのように思わせる絶望ぶりに完敗した。

素晴らしい映画だ。
そーる

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