ペジオ

アポカリプトのペジオのレビュー・感想・評価

アポカリプト(2006年製作の映画)
3.4
文明在るところドラマ在り

全編「マヤ語」が使われているという事からも、メル・ギブソンの並々ならぬ気合いが感じとれる
こちらも相応の気合いをもって臨まなければ…

吹替で観賞(どーん)


時代設定に則った「原初の映画」感はあるある
主人公たちの動機が、「主義」とかではなく「生きる!」っていうシンプルさは映画の「運動」を際立たせる
ラストに「とてつもなく巨大な主義」が現れるのも皮肉っぽくて良い(その唐突さはまさに「デウス」エクスマキナだった。)

…ただ、期待し過ぎた(少なくとも「怒りのデスロード」を観る前に観ておくべきだったと後悔)
残酷描写はともかく、もっと「ドラマ性」を廃して身体感覚のみで語る様な映画かと思っていたので
善悪とか敵味方とか無茶苦茶な逃走劇が観れるかと思ったら、意外とその辺の一線は超えてこない
主人公を素直に応援できるのは「共感」できるからであって、それは「観ている側の理解から外れた事はしない」という事でもある
現代にも通じる「キチンとした倫理観」を感じるというか…それを構成する若干押し付けがましい親子関係、友人関係や、記号的な悪人描写は、こう言っちゃ何だが「普通の映画」っぽい(それは普通に面白いという意味でもある。)
まあよく考えれば、彼らは確固とした「文明」を築いているのだから、過剰な「野蛮さ」を勝手に期待したコチラが悪いのだが…(逆に前半の穏やかな日常描写の方が興味深かったのは個人的には嬉しい誤算。)

「文明以前」を描いたジャン・ジャック・アノーの「人類創世」が久々に観たくなった
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