しちれゆ

愛する時のしちれゆのレビュー・感想・評価

愛する時(2023年製作の映画)
4.0
マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル(MyFFF)2025

𝐔-𝐍𝐞𝐱𝐭の配信終了に間に合わずプライムビデオで¥400払ってレンタル。お金を払う価値あり。見応えある作品だった。
現代的でポップな作品が主流のMyFFFのなかでは王道のメロドラマです。

終戦直後の1940年代、ドイツ兵と関係を持ったフランス人女性は世間の非難の的となり頭を刈られ罵声を浴びた。マドレーヌもそのひとり。ドイツ兵との間にできた5歳のダニエルを育てながらホテルのレストランで働く(この時の制服がとてもクラシカル)彼女は裕福な学生フランソワと出会い恋に落ちる。そして結婚。夫婦はアメリカ兵相手の酒場を経営しやがて黒人兵ジミーとつるむようになり…。
物語はダニエルの成長で時の経過を見せながら進んでいく。フランソワに懐きながらも実の父親を追い求めるダニエル。生きるのに必死な母親にほって置かれる幼少期のダニエルが見ていて辛かった。
マドレーヌとフランソワの初々しい出会いの時から愛憎のときを経てあるがままの相手を受け入れるまでの葛藤、フランソワの乗り越えられないアイデンティティの苦悩、愛する人を失う悲しみと孤独、親子の絆。そして2人が生きた時代の不自由さ。息が詰まるような″普通″という枠。そんな時代に生きたマドレーヌとフランソワの濃密な物語でした。
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