Kz氏

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊のKz氏のレビュー・感想・評価

3.8
今夏今秋のホラー巡り第12弾。
クリスティでポアロだけど、立派にホラーだ。

中高生時分はミステリ少年で、乱歩・久作で変態に目覚める前は、アンチ・ハードボイルドの本格推理信者だった。でも、エラリー・クイーン派だったので、アガサ・クリスティはつまみ食いで、原作「ハロウィーン・パーティ」は未読だ。
Wikipediaで調べると映画のストーリーは原作とまるで違う。呪われた屋敷も、少女の幽霊も、陰惨な地下室も出てこないし、そもそもベネチアの話ではない。
もちろん怪奇趣味事件の全てに合理的な説明がなされるし、クィーンの「読者への挑戦」こそないものの、そのための伏線はきちんと張られている。ポアロ自身の超常体験にも「説明」がある。
しかし、それだけではスッキリとしない余韻が残される。そのジョン・ディクスン・カーの味わいが、ゴシック・ホラーだ。

不勉強で知らなかったが。ケネス・ブラナー監督主演のエルキュール・ポアロは既に二作あり、まだまだ続くらしい。追いかけるものが増えてしまった。
Kz氏

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