Kz氏さんの映画レビュー・感想・評価

Kz氏

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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.0

見ていなかったので、Netflixで。

シリーズ6作目で「ターミネーター2」(1991年)の続編。「3」「4」「新起動/ジェニシス」はなかったことになっている。別時間軸の設定で、ここからは、メキシコ
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蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

3.9

娘の復讐を成し遂げた後の新島の物語。
娘を殺した犯人も娘の殺され方も異なり、ストレートな「蛇の道」の続編ではない。しかし、不条理の感覚は「蛇の道」に連なる。

新島は、哀川翔にふさわしく、反社組織枝の
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蛇の道(1998年製作の映画)

3.8

今年のリメイク版フランス映画のもと作品で、16ミリからのブローアップなので、自主映画感が強い。そのため、不条理劇みたいなテイストが自然。柴咲コウの蛇の目も怖ろしかったが、不協和音だらけの演出に背筋がゾ>>続きを読む

マッチスティック・メン(2003年製作の映画)

3.7

「ドリーム・シナリオ」でニコラス・ケイジに惹かれてNetflixを探す。何と、未見のリドリー・スコット監督作品。

「コンゲームは、往年名画の『スティング』から本邦の『コンフィデンスマン』シリーズまで
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正体(2024年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

宣伝で公にされているシノプシスで分かるので書いてしまうが、本作は「逃亡者」だ。ジェラード警部も「片腕の男」も出てくる冤罪譚である。

顔を変えては様々な職場に馴染み、法律の知識も文才も料理の腕もある鏑
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雨の中の慾情(2024年製作の映画)

3.7

YouTubeに流れている舞台挨拶で、つげ義春を台湾で撮ったらどうだろうというのが、企画の始まりだったと片山慎三監督が述べている。
台湾に昭和のセットを組むのではなく、ロケでそのままを背景としているの
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バーン・クルア 凶愛の家(2023年製作の映画)

3.5

タイホラー。「バーン・クルア」はタイ語原題で、「怖い賃貸」という意味らしい。貸し家が舞台の実話だそうな。

狂信者集団に追い詰められていく恐怖の「ローズマリーの赤ちゃん」だけど、構成が面白い。
クライ
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ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

3.8

何だか筒井康隆みたいだと思ったのは、「俺に関する噂」を思い出したからだ。1970年代では、マスコミが突然自分を報道し始めるのはSFだったけれど、現代のSNS社会では日常となっている。のみならず、百キロ>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.5

「ドリーム・シナリオ」の予習として配信を見る。

リストカットの心理は複雑だろうけれど、自己顕示・承認欲求のファクターは必ずあると思う。それらの欲求は人の本能のようなもので権力欲に繋がるのだろうけれど
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ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.3

相鉄沿線天王町にあった廃館直前のライオン座で、89年公開の「ゴーストバスターズ2」を見たのを懐かしく思い出す。観客は私一人だった。

本作は、3年前の「ゴーストバスターズ/アフターライフ」以来のスペン
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侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

4.0

本業米農家の安田淳一監督が東映京都撮影所の協力で創り上げた自主映画が全国拡大上映、という話題作。

幕末会津藩士が現代にタイムスリップして斬られ役になるという、コメディアンが主演しそうな内容で、題名。
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動物界(2023年製作の映画)

3.6

人間が動物にメタモルフォーゼしていく奇病が蔓延する社会を描いたフランス映画。変異の描写は、リック・ベイカーやトム・サヴィーニの昔より、ナチュラルにして生々しく、正直おぞましい。

「新生物」が隔離され
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十一人の賊軍(2024年製作の映画)

3.8

2002年に没した笠原和夫の60年前の原案を、白石和彌が撮る。血潮と肉片が飛び散る剣戟、銃撃、爆撃の幕末スーサイド・スクワッド。

奥羽越列藩同盟と官軍との洞ケ峠を決め込む小藩新発田藩の捨て駒として、
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八犬伝(2024年製作の映画)

3.7

山田風太郎の「八犬伝」で、「南総里見八犬伝」の物語世界と併走して、滝沢馬琴の「戯作三昧」の世界、ただし山田風太郎だから葛飾北斎や渡辺崋山や鶴屋南北らも登場する、が描かれる。

中高生時分に 、辻村ジュ
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アメリカン・ギャングスター(2007年製作の映画)

3.8

監督ごとに全作感想を述べるYouTube番組があり、リドリー・スコットのこの作品を見ていなかったなと思い出して、マイリストから埃を払って取り出した。

ハーレムを拠点に麻薬市場を独占してマフィアを凌駕
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トラップ(2024年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

レディ・レイブンのアリーナライブ会場が巨大なトラップであり、無数の監視カメラが設置され、300人を超える警官が場内に配備されている、という映画。罠に掛けられるのは、娘を溺愛する消防士クーパーであり、彼>>続きを読む

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

3.5

「お、この間見逃した映画を配信している」と見たが、何と、30年以上昔の作品だ。Time flies like an arrow.

6月、猛暑のロサンゼルス、ハイウェイ大渋滞に、とうとう真面目な勤め人
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シャクラ(2023年製作の映画)

3.3

ドニー・イェン監督の新作なので見た。香港・中国合作とあるけれど、もはや香港は中国だろうと思ったが、香港ワイヤーアクション健在アピールかな。アクション監督は谷垣健治。

金庸原作の武侠物語。だから、延々
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エグザイル/絆(2006年製作の映画)

4.0

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。

タランティ-ノみたいなハードボイルドアクション、というよりは、タランティ-ノが香港アクションの影響を受けたのだろうけど。
悪党どもの佇まいが何ともか
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エレクション 死の報復(2006年製作の映画)

3.3

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。
「エレクション 黒社会」2006年と同じ。

「山口組三代目」とか「日本の首領」とか、「ゴッドファーザー」にインスパイアされた70年代東映ヤクザ映画に
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エレクション 黒社会(2005年製作の映画)

3.3

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。
「エレクション 死の報復」2007年と同じ。

「山口組三代目」とか「日本の首領」とか、「ゴッドファーザー」にインスパイアされた70年代東映ヤクザ映画
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ブレイキング・ニュース(2004年製作の映画)

3.3

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。

警察と強盗団、たまたま居合わせてしまった殺し屋との攻防戦。
路地やら集合住宅内やら、とても狭いところで派手な銃撃戦を演じるので、恐くて仕方がない。
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バンコク・ブレイキング: ヘブン・アンド・ヘル(2024年製作の映画)

3.5

インドネシア・アクション「ロスト・イン・シャドー」の興奮冷めやらず、Netflix新配信のタイ・アクションを。なんと147分。

ぽっと出の救急隊員ワンチャイが、社会の闇に遭遇するドラマ「バンコク・ブ
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ロスト・イン・シャドー(2024年製作の映画)

3.5

ホラー「悪魔に呼ばれる前に」やアクション「ヘッド・ショット」がとても面白かった、ティモ・ジャヤント監督インドネシア映画のNetflix新作。「ジョン・ウィック」世界の逆「レオン」で、ジャカルタを舞台に>>続きを読む

破墓/パミョ(2022年製作の映画)

3.6

破墓とは、墓の相を見て祀り直すことで、身内に不幸が続いたりすると吉凶禍福を占うらしい。いかにも祖霊信仰の儒教的な風習だけど、在米大富豪一族の不幸は命にも関わり、墓は最悪の地にあって、祖先が子孫に祟って>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.7

17世紀朝鮮王朝のお家騒動。盲人の鍼医のみが真実を見るというアイロニー。
見つかるか見つからないか、追いつかれるか追いつかれないか、銃も刀も出てこないが、息詰まるサスペンス。ほとんど王宮の中の展開なの
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ジョーカーを相対化するアーサー・フレックの映画。
「フォリ・ア・ドゥ」は、妄想が伝染する感応精神病のこと。たぶんジョーカー取材のために拘置所内の精神病棟(なのか)に潜入したリー(ハーレクイン)が罹患し
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悪魔と夜ふかし(2023年製作の映画)

3.5

邦題は「月曜から夜ふかし」のもじりだろうと蔑んでいたが、原題「Late Night with the Devil」の直訳。オーストラリア映画。
ファウンドフッテージと宣伝されているが、生放送CM中のス
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シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.0

共和党VS民主党のアメリカ内戦の話かと思っていたが、「MEN 同じ顔の男たち」や「アナイアレイション全滅領域」の監督は、そんな正攻法の世界を描かない。

既に内戦末期であり、開戦理由は不明。その渦中を
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Cloud クラウド(2024年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

劇伴がなく生活音が入り込み、噛み合っているのかいないのか分からない会話に奇妙な間が挟まる。そこに、鼠の死骸、道路を横切るワイア、バスの中で後ろからのぞき込む人影、走り去る車という意図不明な不穏が滲み込>>続きを読む

憐れみの3章(2024年製作の映画)

4.0

考察したくなる映画だけど考察せずに不条理ホラーとして愉しむ。ファンの大向こうからお叱りを受けそうだが、村上春樹でさえそういう読み方をしている人なので許して欲しい。

重度の精神的マゾヒストの物語。エマ
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アビゲイル(2024年製作の映画)

3.5

いくら吸血鬼とはいえ、小学校高学年くらいの女の子がバレー踊りながら、大の大人を追いかけまわしてもなあ……と思って見る気がなかったのだが、どうしようもなく時間が空いてしまったので見たら、面白かった。>>続きを読む

三茶のポルターガイスト(2022年製作の映画)

3.0

ヤラセか真実かはどうでもよくて、こういうTV番組「心霊特集」拡大版みたいな怪しげなドキュメンタリーは愉しい。ホラーにモキュメンタリーが多いのはその楽しさを求めるのだろうね。「真・事故物件 本当に怖い住>>続きを読む

夜を越える旅(2021年製作の映画)

3.5

青春の残滓を甘苦く味わう映画かと思っていたら、突然、ホラーになった。本当に突然で驚いた。祟りの世界だけど、怪異の映像がもの凄くアバンギャルドで、白石晃士みたいな胡散臭い霊能者まで出てくる。
……と惹き
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

殺しても死なないジジイがツルハシ片手に血煙を上げる、「イングロリアス・バスターズ」+「ランボー」の、ナチス狩り一人軍隊のストレス解消フィランド映画。
で、いいのだけど、少し違和感がある。

フィンラン
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