Kz氏さんの映画レビュー・感想・評価

Kz氏

Kz氏

貴公子(2023年製作の映画)

4.5

原題は「The Childe」で物語のままなのだが、名無しの主人公にシフトした邦題は素晴らしい。イケメンで高級スーツをまといベンツを乗り回す、謎の男キム・ソンホをよく表現している。

韓国巨大財閥の相
>>続きを読む

文学賞殺人事件 大いなる助走(1989年製作の映画)

3.5

吉田大八作品「敵」を見に行くので予習として。

遥か昔の学生時代、筒井康隆新作を心待ちにしていて、単行本は学生には高いし、大学図書館は入れてくれないので、文庫化が一日千秋だったのを覚えている。ゼミの読
>>続きを読む

ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

4.0

映画館始め。
マンハッタンを舞台としながら、スペイン・フランス合作映画。

アニメというよりはカートゥーンで、文字通りの戯画化。「ライオン・キング:ムファサ」の「超実写化」とは対極的。台詞がなく、登場
>>続きを読む

ライド・オン(2023年製作の映画)

3.5

ジャッキー・チェン主演50周年記念作品。
原題「龍馬精神」をネット翻訳にかけても「龍馬の精霊」としか出てこないのだけど、ストーリーからして「スタントマン精神」という意味だと思う。

落ちぶれたスタント
>>続きを読む

犯罪都市 PUNISHMENT(2024年製作の映画)

3.5

何でも拳で解決するマ・ソクト刑事の第4作。
1作目を配信で見てから虜になり、封切り時に見てきたのだが、本作は公開期間が短くて見逃した。WOWOWの「犯罪都市」全作放映はありがたい。

第1作にトーンが
>>続きを読む

レベル・リッジ(2024年製作の映画)

3.5

年末podcast番組に溢れていた2024年映画ベスト10のひとつで、Netflixは新作の宣伝をしないので知られていないのがもったいないと評されていた配信作品。

警察署ぐるみの不正に黒人が一人で立
>>続きを読む

私にふさわしいホテル(2024年製作の映画)

3.5

上村一夫の漫画にあった本郷の菊坂ホテル(菊富士ホテル)と勘違いしていたので戦前の話かと思っていたが、営業停止しているが山の上ホテルは駿河台に現存している。
また、ホテルと題にあるとグランド・ホテル形式
>>続きを読む

忠臣蔵外伝 四谷怪談(1994年製作の映画)

3.0

新春ホラー始め。

とはいえ、四谷怪談要素は薄くて、忠臣蔵要素が濃い。
ほとんどのシーンが、雨か風か雪かの荒天という凄まじい作品。民谷伊右衛門が真面目な義士で、お岩はおきゃんな湯女、伊藤家お梅は聾唖で
>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.8

新年映画始めで、紅白の後Wild Turkeyをストレートでチビチビやりつつ見る。
原題は「The Holdovers」で残留者の意味。そのままだね。邦題イメージのドタバタコメディではない。

マサチ
>>続きを読む

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ(2023年製作の映画)

3.0

低予算でそつなく創るブラムハウスホラー、今年見逃した作品をWOWOWで。

ホラーゲームの映画化で、巨大な機械仕掛けのマスコットが襲ってくる。くまのプーさんやレトロなミッキーマウスが、パブリックドメイ
>>続きを読む

ナイトスイム(2024年製作の映画)

3.0

低予算でそつなく創るブラムハウスホラー、今年見逃した作品をWOWOWで。

プールが人を喰らう話。正確には、プールに潜り込んだ水妖が生贄を求めるホラー。
どことなく「IT イット “それ”が見えたら、
>>続きを読む

デューデート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜(2010年製作の映画)

3.4

「ドライブアウェイ・ドールズ」に惹かれて、バディもののロードムービーを配信で。

原題「Due Date」は出産予定日のことで、邦題がストーリーの全てを表わしている。アトランタからロサンゼルスまでの爆
>>続きを読む

ドライブアウェイ・ドールズ(2023年製作の映画)

3.5

コーエン兄弟バラ売り、2021年兄「マクベス」に続いての弟イーサン単独監督作品。Drive-Awayとは、車の配送のことで、アメリカは広いので泊まりがけの仕事になる。

プレイボーイと堅物凸凹コンビの
>>続きを読む

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~(2023年製作の映画)

3.3

「地域差別」お馬鹿映画第2弾の関西編。
TVのお国自慢番組・企画は、同時に他県蔑視になりがちだけど、落語の「祇園祭」から「トラック野郎」の食堂乱闘まで、伝統的な馴れ合いのお笑いネタ。その流れにある作品
>>続きを読む

ワイルドカード(2014年製作の映画)

3.3

ジェイソン・ステイサム主演なので、マッチョのためのマッチョイズム映画だけど、他のアクション作品とは少し毛色が違う。
元特殊部隊エリートのニック・ワイルドは、ラスベガスの便利屋で、マフィアのボスからホテ
>>続きを読む

ヘヴィ・トリップII/俺たち北欧メタル危機一発!(2024年製作の映画)

3.5

終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタルバンドの、2018年前作は、まだ命脈を保っていたレンタルで見た、が、あまりよく覚えていない。それくらいのストレス解消フィンランド映画。
本作
>>続きを読む

バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)

3.8

フォーマル姿の中年女性が高い脚立の上に座って、長いモップで大きな給水塔を磨いている。BGMに「コーリング・ユー」のサビ。
……というイメージを何年も前から持っていたのだけど、本編を見たことがない。予告
>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.3

富豪の間に、クル-の間に、もちろん乗客とクルーの間に、ガチガチのヒエラルキーが存在する豪華客船クルーズの旅。船長主催ウエルカムパーティーで、荒天と海賊襲撃のために、下痢便吐瀉物まみれで、難破してしまう>>続きを読む

ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.0

見ていなかったので、Netflixで。

シリーズ6作目で「ターミネーター2」(1991年)の続編。「3」「4」「新起動/ジェニシス」はなかったことになっている。別時間軸の設定で、ここからは、メキシコ
>>続きを読む

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

3.9

娘の復讐を成し遂げた後の新島の物語。
娘を殺した犯人も娘の殺され方も異なり、ストレートな「蛇の道」の続編ではない。しかし、不条理の感覚は「蛇の道」に連なる。

新島は、哀川翔にふさわしく、反社組織枝の
>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

3.8

今年のリメイク版フランス映画のもと作品で、16ミリからのブローアップなので、自主映画感が強い。そのため、不条理劇みたいなテイストが自然。柴咲コウの蛇の目も怖ろしかったが、不協和音だらけの演出に背筋がゾ>>続きを読む

マッチスティック・メン(2003年製作の映画)

3.7

「ドリーム・シナリオ」でニコラス・ケイジに惹かれてNetflixを探す。何と、未見のリドリー・スコット監督作品。

「コンゲームは、往年名画の『スティング』から本邦の『コンフィデンスマン』シリーズまで
>>続きを読む

正体(2024年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

宣伝で公にされているシノプシスで分かるので書いてしまうが、本作は「逃亡者」だ。ジェラード警部も「片腕の男」も出てくる冤罪譚である。

顔を変えては様々な職場に馴染み、法律の知識も文才も料理の腕もある鏑
>>続きを読む

雨の中の慾情(2024年製作の映画)

3.7

YouTubeに流れている舞台挨拶で、つげ義春を台湾で撮ったらどうだろうというのが、企画の始まりだったと片山慎三監督が述べている。
台湾に昭和のセットを組むのではなく、ロケでそのままを背景としているの
>>続きを読む

バーン・クルア 凶愛の家(2023年製作の映画)

3.5

タイホラー。「バーン・クルア」はタイ語原題で、「怖い賃貸」という意味らしい。貸し家が舞台の実話だそうな。

狂信者集団に追い詰められていく恐怖の「ローズマリーの赤ちゃん」だけど、構成が面白い。
クライ
>>続きを読む

ドリーム・シナリオ(2023年製作の映画)

3.8

何だか筒井康隆みたいだと思ったのは、「俺に関する噂」を思い出したからだ。1970年代では、マスコミが突然自分を報道し始めるのはSFだったけれど、現代のSNS社会では日常となっている。のみならず、百キロ>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.5

「ドリーム・シナリオ」の予習として配信を見る。

リストカットの心理は複雑だろうけれど、自己顕示・承認欲求のファクターは必ずあると思う。それらの欲求は人の本能のようなもので権力欲に繋がるのだろうけれど
>>続きを読む

ゴーストバスターズ/フローズン・サマー(2024年製作の映画)

3.3

相鉄沿線天王町にあった廃館直前のライオン座で、89年公開の「ゴーストバスターズ2」を見たのを懐かしく思い出す。観客は私一人だった。

本作は、3年前の「ゴーストバスターズ/アフターライフ」以来のスペン
>>続きを読む

侍タイムスリッパー(2023年製作の映画)

4.0

本業米農家の安田淳一監督が東映京都撮影所の協力で創り上げた自主映画が全国拡大上映、という話題作。

幕末会津藩士が現代にタイムスリップして斬られ役になるという、コメディアンが主演しそうな内容で、題名。
>>続きを読む

動物界(2023年製作の映画)

3.6

人間が動物にメタモルフォーゼしていく奇病が蔓延する社会を描いたフランス映画。変異の描写は、リック・ベイカーやトム・サヴィーニの昔より、ナチュラルにして生々しく、正直おぞましい。

「新生物」が隔離され
>>続きを読む

十一人の賊軍(2024年製作の映画)

3.8

2002年に没した笠原和夫の60年前の原案を、白石和彌が撮る。血潮と肉片が飛び散る剣戟、銃撃、爆撃の幕末スーサイド・スクワッド。

奥羽越列藩同盟と官軍との洞ケ峠を決め込む小藩新発田藩の捨て駒として、
>>続きを読む

八犬伝(2024年製作の映画)

3.7

山田風太郎の「八犬伝」で、「南総里見八犬伝」の物語世界と併走して、滝沢馬琴の「戯作三昧」の世界、ただし山田風太郎だから葛飾北斎や渡辺崋山や鶴屋南北らも登場する、が描かれる。

中高生時分に 、辻村ジュ
>>続きを読む

アメリカン・ギャングスター(2007年製作の映画)

3.8

監督ごとに全作感想を述べるYouTube番組があり、リドリー・スコットのこの作品を見ていなかったなと思い出して、マイリストから埃を払って取り出した。

ハーレムを拠点に麻薬市場を独占してマフィアを凌駕
>>続きを読む

トラップ(2024年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

レディ・レイブンのアリーナライブ会場が巨大なトラップであり、無数の監視カメラが設置され、300人を超える警官が場内に配備されている、という映画。罠に掛けられるのは、娘を溺愛する消防士クーパーであり、彼>>続きを読む

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

3.5

「お、この間見逃した映画を配信している」と見たが、何と、30年以上昔の作品だ。Time flies like an arrow.

6月、猛暑のロサンゼルス、ハイウェイ大渋滞に、とうとう真面目な勤め人
>>続きを読む