Kz氏さんの映画レビュー・感想・評価

Kz氏

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八犬伝(2024年製作の映画)

3.7

山田風太郎の「八犬伝」で、「南総里見八犬伝」の物語世界と併走して、滝沢馬琴の「戯作三昧」の世界、ただし山田風太郎だから葛飾北斎や渡辺崋山や鶴屋南北らも登場する、が描かれる。

中高生時分に 、辻村ジュ
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アメリカン・ギャングスター(2007年製作の映画)

3.8

監督ごとに全作感想を述べるYouTube番組があり、リドリー・スコットのこの作品を見ていなかったなと思い出して、マイリストから埃を払って取り出した。

ハーレムを拠点に麻薬市場を独占してマフィアを凌駕
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トラップ(2024年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

レディ・レイブンのアリーナライブ会場が巨大なトラップであり、無数の監視カメラが設置され、300人を超える警官が場内に配備されている、という映画。罠に掛けられるのは、娘を溺愛する消防士クーパーであり、彼>>続きを読む

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)

3.5

「お、この間見逃した映画を配信している」と見たが、何と、30年以上昔の作品だ。Time flies like an arrow.

6月、猛暑のロサンゼルス、ハイウェイ大渋滞に、とうとう真面目な勤め人
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シャクラ(2023年製作の映画)

3.3

ドニー・イェン監督の新作なので見た。香港・中国合作とあるけれど、もはや香港は中国だろうと思ったが、香港ワイヤーアクション健在アピールかな。アクション監督は谷垣健治。

金庸原作の武侠物語。だから、延々
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エグザイル/絆(2006年製作の映画)

4.0

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。

タランティ-ノみたいなハードボイルドアクション、というよりは、タランティ-ノが香港アクションの影響を受けたのだろうけど。
悪党どもの佇まいが何ともか
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エレクション 死の報復(2006年製作の映画)

3.3

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。
「エレクション 黒社会」2006年と同じ。

「山口組三代目」とか「日本の首領」とか、「ゴッドファーザー」にインスパイアされた70年代東映ヤクザ映画に
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エレクション 黒社会(2005年製作の映画)

3.3

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。
「エレクション 死の報復」2007年と同じ。

「山口組三代目」とか「日本の首領」とか、「ゴッドファーザー」にインスパイアされた70年代東映ヤクザ映画
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ブレイキング・ニュース(2004年製作の映画)

3.3

WOWOWで、ジョニー・トー監督香港ノアールを。

警察と強盗団、たまたま居合わせてしまった殺し屋との攻防戦。
路地やら集合住宅内やら、とても狭いところで派手な銃撃戦を演じるので、恐くて仕方がない。
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バンコク・ブレイキング: ヘブン・アンド・ヘル(2024年製作の映画)

3.5

インドネシア・アクション「ロスト・イン・シャドー」の興奮冷めやらず、Netflix新配信のタイ・アクションを。なんと147分。

ぽっと出の救急隊員ワンチャイが、社会の闇に遭遇するドラマ「バンコク・ブ
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ロスト・イン・シャドー(2024年製作の映画)

3.5

ホラー「悪魔に呼ばれる前に」やアクション「ヘッド・ショット」がとても面白かった、ティモ・ジャヤント監督インドネシア映画のNetflix新作。「ジョン・ウィック」世界の逆「レオン」で、ジャカルタを舞台に>>続きを読む

破墓/パミョ(2022年製作の映画)

3.6

破墓とは、墓の相を見て祀り直すことで、身内に不幸が続いたりすると吉凶禍福を占うらしい。いかにも祖霊信仰の儒教的な風習だけど、在米大富豪一族の不幸は命にも関わり、墓は最悪の地にあって、祖先が子孫に祟って>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.7

17世紀朝鮮王朝のお家騒動。盲人の鍼医のみが真実を見るというアイロニー。
見つかるか見つからないか、追いつかれるか追いつかれないか、銃も刀も出てこないが、息詰まるサスペンス。ほとんど王宮の中の展開なの
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ジョーカーを相対化するアーサー・フレックの映画。
「フォリ・ア・ドゥ」は、妄想が伝染する感応精神病のこと。たぶんジョーカー取材のために拘置所内の精神病棟(なのか)に潜入したリー(ハーレクイン)が罹患し
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悪魔と夜ふかし(2023年製作の映画)

3.5

邦題は「月曜から夜ふかし」のもじりだろうと蔑んでいたが、原題「Late Night with the Devil」の直訳。オーストラリア映画。
ファウンドフッテージと宣伝されているが、生放送CM中のス
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シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.0

共和党VS民主党のアメリカ内戦の話かと思っていたが、「MEN 同じ顔の男たち」や「アナイアレイション全滅領域」の監督は、そんな正攻法の世界を描かない。

既に内戦末期であり、開戦理由は不明。その渦中を
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Cloud クラウド(2024年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

劇伴がなく生活音が入り込み、噛み合っているのかいないのか分からない会話に奇妙な間が挟まる。そこに、鼠の死骸、道路を横切るワイア、バスの中で後ろからのぞき込む人影、走り去る車という意図不明な不穏が滲み込>>続きを読む

憐れみの3章(2024年製作の映画)

4.0

考察したくなる映画だけど考察せずに不条理ホラーとして愉しむ。ファンの大向こうからお叱りを受けそうだが、村上春樹でさえそういう読み方をしている人なので許して欲しい。

重度の精神的マゾヒストの物語。エマ
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アビゲイル(2024年製作の映画)

3.5

いくら吸血鬼とはいえ、小学校高学年くらいの女の子がバレー踊りながら、大の大人を追いかけまわしてもなあ……と思って見る気がなかったのだが、どうしようもなく時間が空いてしまったので見たら、面白かった。>>続きを読む

三茶のポルターガイスト(2022年製作の映画)

3.0

ヤラセか真実かはどうでもよくて、こういうTV番組「心霊特集」拡大版みたいな怪しげなドキュメンタリーは愉しい。ホラーにモキュメンタリーが多いのはその楽しさを求めるのだろうね。「真・事故物件 本当に怖い住>>続きを読む

夜を越える旅(2021年製作の映画)

3.5

青春の残滓を甘苦く味わう映画かと思っていたら、突然、ホラーになった。本当に突然で驚いた。祟りの世界だけど、怪異の映像がもの凄くアバンギャルドで、白石晃士みたいな胡散臭い霊能者まで出てくる。
……と惹き
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

殺しても死なないジジイがツルハシ片手に血煙を上げる、「イングロリアス・バスターズ」+「ランボー」の、ナチス狩り一人軍隊のストレス解消フィランド映画。
で、いいのだけど、少し違和感がある。

フィンラン
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この動画は再生できません THE MOVIE(2024年製作の映画)

3.8

Tverで過去放送を見てはまった、2シーズン各4回の深夜ドラマの劇場版。キー局ではなく、地元地方局神奈川テレビの番組、というところに親しみを持つ。
監督が、1回分の製作費かと思っていたら全回分で驚いた
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映画検閲(2021年製作の映画)

3.5

1980年代のビデオ検閲官の話。VHSビデオのように粗い映像。
1980年代はアダルトと共にスプラッターの黄金期で、「ギニーピッグ」みたいなスナッフフィルムまがいには手を出さなかったものの、ゴアなホラ
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憑依(2022年製作の映画)

3.8

ウェブトゥーンの映画化。
予告編から、インチキ霊能者が本物の悪霊に行き当たる、というよくあるパターンの話かと思っていたが、もっと派手な「呪術廻戦」で、祈祷師と悪鬼の因縁の対決。朝鮮巫俗が、呪具が火花を
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隣人-The Neighbors-(2012年製作の映画)

3.3

Amazonに注文したらいつの間にかamazon prime videoに加入させられており、退会手続きをしたものの無料期間がしばらくあるので、入っているサブスクにないものを見た。

同じ団地の中に、
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ザ・トリップ(2021年製作の映画)

3.3

ノルウェーの夫婦喧嘩映画。台詞の端々に夫婦ならではの嫌悪感が滲み出る。
殺し合いになるところを、三人の脱獄囚の乱入で、血まみれの共同作業となり、喧嘩は犬に食わせてしまう。「バイオレント・ナイト」のトミ
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エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)

4.5

リプリーが「ノストロモ号」から放擲したエイリアンを回収したがゆえに、破船と化したユタニ社宇宙ステーション・ロムルスが舞台。

「エイリアン」は無数のエピゴーネンを産んでプレデターと闘ったりまでしている
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東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-(2023年製作の映画)

3.0

ヤンキー映画は配信されれば、かつてはレンタルリリースされれば、見ている。現代と80年代を行き来するタイムリープ不良映画の第2弾。
東京卍會のモデルは関東連合だそうなので、現実と重ねると、「最悪の結末」
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デリヴァランス -悪霊の家-(2024年製作の映画)

4.0

実話を元としたホラーで、「エクソシスト」のエピゴーネン。
しかし、ホラー意匠のブラックスプロイテーション映画で、悪魔との闘いよりも、主人公シングルマザーのエボニーに心惹かれる。

監督の出身地であるフ
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レイヤー・ケーキ(2004年製作の映画)

3.5

レイヤーケーキはショートケーキのことで、Layer は「階層」のこと。麻薬ディーラーが裏社会の階層を上がっていく話だけど、どこか戦国武将っぽい日本のヤクザドラマよりビジネスライクなのが英国流。

シー
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デ・ヴィル家への招待状(2022年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「吸血鬼ドラキュラの花嫁」の再構築、と書いてしまうと、残り40分になってからの怒濤の展開のネタバレとなり、面白さ半減になってしまうのだが、Netflixが「吸血鬼ホラー」とジャンル分けを明記してしまっ>>続きを読む

サユリ(2024年製作の映画)

3.5

観客が、白石晃士監督作品であることを自覚していないと、腹を立てるであろう映画。
前半は、オーソドックスな家憑きホラーで、ハイペースで家族が祟り殺される。後半は、突如認知症から目覚めた太極拳達人の婆ちゃ
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箱男(2024年製作の映画)

3.7

安部公房の新刊を公立図書館で借りて読んだ記憶がある。1973年は、高校生の時だ。まだネットもスマホも町中に溢れる監視カメラもなかった時代。

完全に孤立し完全な匿名性を獲得し、一方的に覗く。妄想をノー
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オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

3.5

7月にWOWOWで全6話で放送されたドラマを、8月に3週間限定公開で劇場公開した作品。つまり再編集短縮版なので、配信されても放置していたが、新作「サユリ」が公開されるので、予習として見た。サービスなの>>続きを読む