ふかい

絞殺魔のふかいのレビュー・感想・評価

絞殺魔(1968年製作の映画)
4.2
黒沢清ファンなら全員みてると言われる隠れ名作をようやく。

今で言うフェミサイドを扱った映画として即座に連想するのは「殺人の追憶」だが、決定的に異なるのは本作のミステリー要素が中盤で一気に瓦解してしまうところだ。

物語による惹きつけが薄まるにつれ、文法無視の編集数々(スプリットスクリーン、しつこいズーム)が多用され、フラッシュバックシーンでのカット割りの多さからも分かる様に忙しなくなっていく。

登場人物2人が目を合わせて話し合っている様子を、カメラが正面から捉えることはできない。(だから表情の切り返しが多用される)だが鏡を活用することで、一方の人物の顔を正面から、また鏡に映ったもう一方の人物の顔を正面から捉えることができる。本作では主題的にも「鏡」が重要なモチーフになっているようにも思えるが、そこは別の方の考察に委ねたい。
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