Asq

ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズのAsqのレビュー・感想・評価

4.0
とても楽しかったです。
原作者とFNAFファンによる、全てのFNAFファンのための作品。そこに詰め込まれた魅力は情熱的なファンのレビューやメディア記事もあるので、私からはあえて語るべくもないでしょう。
ファンはもちろん、FNAF作品を少しでも見聞きしたことあるゲーマーなら押さえておいて損はない。実写で自然に動くアニマトロニクスの"不自然さ"を楽しめます。
そしてFNAFに触れたことがない方も、とりあえず観てほしい。
その時はどうか「この映画だけでは満足しきれない」ということだけ知っておいてほしい。その後FNAF1の考察・解説動画をYoutubeで視聴いただければ、きっと、その衝撃的な考察と世界観にのめり込めるでしょう。そして、自分が劇場で目の当たりにしたものがいかに歴史的な瞬間であり、興味深い作品であったかを感じてもらえると嬉しい。

ちなみに私はホラー全般苦手ですが、ジャンプスケア(ビックリ要素)やスプラッタ描写は予告編などで想像するよりも強くなかったです。「ホラー・流血は一瞬たりとも見たくない!」レベルでなければ楽しめるかと思います。
(逆にいわゆるホラー映画好きな方は肩透かしを喰らうかも。)
原作が原作なだけにクレジット終了後に「イ゛ェアアアア」が来ないかビクビクしてましたがそんなことはありませんでした。笑










ーーー以下、解説混じりの自分語り。
まさに2023年はゲーム映画快挙の年であったと言っても過言ではない。ゲーム作品の映画化といえば、スーパーマリオブラザーズが記憶に残っている方も多いだろうが、世界的な目で見ればその双璧をなす作品としてこのFNAFが挙げられる。
これまで数々のゲームが映画化されてきたが、残念ながら「成功した」と言われているものはそう多くない。そもそもゲーム自体が映画作品級の世界観と体験で構成されており、それをたかだか2〜3時間の映像作品に落とし込む難易度の高さは想像に難くない。作品への深い理解とリスペクト、シナリオの取捨選択、原作要素とそれ以外の繊細なバランス感覚。どれか一つでも欠けていればファンの納得感は得られない。
特にFNAFはファンを最も大切にしており、生みの親であるスコット・カウソン氏は映画化にとても慎重な姿勢であった。プラムハウスは10年以上かけて口説き落とし、同氏と共に見事にファンの納得のいく作品に仕上げた。
私はホラーゲーム(特にビックリ系)は苦手なのでプレイこそしていないが、10年前からFNAF作品の魅力とそれを裏付ける世界的な人気ぶりは目の当たりにしてきたし、特にクレジットでファンソングである「Five Nights at Freddy's」が流れた時は感極まるものがあった。
逆に言えば、FNAF知識ゼロの状態で視聴するには"説明不足"かもしれない。しかしその"説明不足"こそがFNAFであり、世界中のゲームファンを虜にした魅力なのである。
原作のFNAFは2014年、スコット・カウソン氏によって世に送り出されたビックリ系ホラーゲームだ。シンプルながらも刺激的なゲーム性+「小さい頃なぜか怖かったモノ」に実際に襲われる恐怖体験が相まって、ホラーゲームファンを皮切りに全世界で爆発的な人気を博した。
しかしここまではいわば"ガワ"の部分。そんな一見「コワ面白いインディーゲーム」の中に、とても複雑に絡み合った暗い真相が詰め込まれていたとしたら、どうだろう。シリーズを股にかけた隠し要素と伏線たちがゲーマーの好奇心を大いにくすぐり、絶え間ない考察と議論の末に見えてくるあまりにも悲しい真相に、当時コミュニティは非ゲーマーさえも巻き込みゲーム史上類を見ないレベルの熱を帯びていた。
そうしてスコット・カウソン氏がFNAFゲームシリーズの最前線から退いた今もなお、世界中のファンに愛され続けている。
この映画にも、「コワーイ機械人形から生き延びるホラー映画」という"ガワ"には数えきれないほどの考察要素が詰め込まれており、FNAFファンの心を掴んで離さないことだろう。

今や日本でもその魅力が認知されつつある"Garden of BANABN"や"Poppy Playtime"といった「コワ可愛いキャラクターと闇を内包したホラーゲーム」の元祖と言えるFNAF。その集大成たりえる映画作品を劇場で観られることは非常に喜ばしい体験だった。
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