ロアー

ザ・クリエイター/創造者のロアーのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.7
まず、SF映画としてとってもビジュがいい。

前半はちょっと設定の説明不足が急ぎ足に感じたものの、オタクはそう言うことやりがちなのでそこは多めにみて。
というか私、「ローグ・ワン」ベタ褒めの民なので、ギャレス・エドワーズ監督には最初からちょっと甘い顔しちゃってるかも。「ローグ・ワン」を観れば監督がSW大好きなことはよく分かるし、今作にもSWの影響がばっちばちに入りに入りまくってたけど、それでもSWとは別の、監督が描きたかった新しい物語として成り立っていたと思う。

人間とAI。
200%SF設定ではあるものの根本は人種差別の歴史の構図で、こう言う映画を観ると、血の通った人間とは思えない現実世界の非道な人間に対しての怒りが湧いてくる。差別だけじゃなく、一部の誰かの利益や不始末のために戦争が起きることへの怒りも...
とはいえ、「RRR」ばりにはっきり人間サイドを悪の存在として描き、AIサイドにお涙エピソードを盛っていた点は少々やり過ぎにも感じたし、他にもいろいろ言いたいことはあって100%の気持ちでベタ褒めできないのも確か。それでも映画のスイッチが入ったのか私のスイッチが入ったのか「THE MOTHER」の章からラストに向けての流れが良かったので、全体で言ったら高評価な映画だった。
ずっと自分本位で行動していたジョシュアが「THE MOTHER」の直前で、本気でAIであるアルフィーを守ろうとしたその感情の変化の表現が良かったから。それを察して"友"と認めた渡辺謙の役どころも良かったし、アルフィー役のマデリンちゃんも言うことなしの名演技だった。

MEMO---
・音楽はジマー大先生。既存のポップスもクラシック曲もセンスがすごく良かった。そもそも予告の「♫Dream on」からして良い
・監督が日本好きなことも分かるけど、好きなのに知識がアップデートされてないところに笑っちゃった。ヘンテコな日本語がめちゃくちゃ出てくる。
感動のラストなのに「もういや」と書いてあるプラカードに意識を持っていかれちゃって...ただ、街中のなんちゃって日本語は逆にSFっぽいかも?
・特攻ロボの見た目と動きと喋れる設定でそんなことさせる尊厳のなさがめちゃくちゃ好きだった。爆弾に手足をつけただけの不恰好さが逆に良い
・ノマドのシンプルで洗練されたビュジュも最高。「NOPE」のアレみたいに洗練されてるからこその不気味さがある
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