なこ

ザ・クリエイター/創造者のなこのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.2
[AIが進化するとどうなるか?]プルートゥでは、人間により近くなり複雑な感情を持つようになる、としている。
そうなった場合に、人間との差はなんなのか?それは生物なのかロボットなのか、生命を奪って良いのか、、、?

この映画でも進歩したAIロボットをどう受け取るかという2つの世界の衝突から成っている。
共存を選んだ世界と他者を受け入れない世界。
作中では前者が欧米諸国で後者がアジア諸国と完全に言い切ってしまいAIを絶滅に追いやろうとするのだが、その描写はレーザーや衛星兵器を用いているものの、ベトナム戦争の描写と酷似している。
舞台は未来の地球だが、どんなに時代が変わっても、同じことを行い、同じ過ちを繰り返す彼らに対しての痛烈な批判映画である。ロボットが破壊されることが徐々に、人間が死ぬことと同じくらいショッキングに感じられてくる演出は見事の一言でした。

近年のアカデミー賞でもアジア勢を評価する流れがある一方で、アジア系に対するヘイトクライムが多発している。搾取する側としての欧米諸国に対して、他者(AI)との共存を選んだアジア系の民族へのリスペクトが作中からとても感じられた。特に日本語がかなり多用されており、近未来と過去の文化の共存という観点でもかっこよかったです。

ストーリーと同じくらい映像の美しさ、キャスト(渡辺謙がヤバい、近年1番良いのでは?)、劇中の曲のチョイス(Radioheadかかった瞬間鳥肌立った)素晴らしかったです。

商業的に弄ばれたゴジラを見るのであれば、こっちを見た方が絶対良いともいます。
なこ

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