なこ

ありふれた教室のなこのレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
3.6
ありふれた教室と悪は存在しない、2本続けて見た。

2つの作品に共通してある「悪」の存在について、前者が『無自覚な悪』だとした場合に後者が『自覚のある悪』で、偶然にも同じモチーフを扱いながらも逆のアプローチだったのがとても面白かった。
扱っている「悪」のベースは同じで、判断基準の一つが、責任の所在や有無などで、[ありふれたー]の場合、無自覚な責任のない言動や行為が悪に繋がってしまう可能性を、[悪はー]の場合しょうがなく、または責任感からの悪を描いている。

大きな悪は目立ちやすいが、私たちの生活の中にある、または私達が普段の生活の中で自然と行なっている行為自体が、悪に繋がっていないかどうか、こう言った映画を通して改めて振り返りたいと感じさせる。

僕の中で美術作品というのは、見る人に自身の視点に変化を与えることが必要だと思っていて、そう言った意味で、日常生活の中で気づかない(振りをしてるかも知れない)悪とは何かということを見た人に問う良い作品だと思った。

この2作品に100%の悪は存在しない。しかし悪はある。悪とは一体なんだろうか誰がこの悪を裁けるのだろうか?と見終わった後ずっと考えてしまった。
なこ

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