ちゃにー

ザ・クリエイター/創造者のちゃにーのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

AIロボットと人間の対立を描いた作品が腐るほど存在する中、本作は「魂」にフォーカスした作品だと僕は感じた。

設定はわかりやすくなってる。核攻撃によりAIを禁止した西洋諸国とAIとの共存の道を選んだアジアとの戦争が舞台。西洋諸国は「ノマド」と呼ばれる空爆可能な宇宙基地、一方アジアにはアルファOという高性能AIロボが存在。これらがキーとなるアイテムだ。

欧米の植民地支配、唯物論的価値観を遠回しに批判し、アジアのアニミズム、神話的要素を現在のAIに当てはめて考えてるところに親近感が湧いた。西洋諸国は人間や死体、ロボットをまるでもののように扱う。顔認証のために死体の顔を切り取ったり、人間の脳のデータをスキャンして、情報収集に使うなど、傲慢な態度だ。一方でアジアはAIも人間同等にスピリチュアル的価値観を共有していた。AIも死んだら、火葬され、お祈りをしながら儀式を行なっている場面は新鮮に思えた。

ラスト、ノマドの爆破に成功し、ミサイルが途中機能しなくなるなど、泣かせるあざとい演出(実際最後は泣きました)かと思っていたが、深読みすると意外な考察が導き出された。人間によるミスによって引き起こされたのではないかと考えられる。人間は責任を取らず、全てAIのせいにした結果、予想外の事態(ノマドが乗っ取られ、爆破される)が起こしてしまった人間の愚かさを描かれてるということだ。そう考えると、ハルンが言及した「核爆発はAIではなく、人間による入力ミスが原因だ。それを人間はAIになすりつけた」という発言の辻褄が合う。実際、911が起こるまでまさかテロリストが飛行機を乗っ取り、自爆するとは思ってもいなかったし、311が起こるまで福島原発が浸水して水素爆発が起こるとわ思わなかった。

AIに頼り、責任を取らない人間に対する警告であり、人間とAIの共存の道を示した素晴らしいSF映画僕は思えた。