ボー

ザ・クリエイター/創造者のボーのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

 美しくて強い映画だった。AIを創った・救世主云々というより、あの騒動を経て戦力差が不均衡な時代を生き残った人々が"次の対話と共存の時代を創る者"たち、創造者なのだ、というやつではと解釈した。

 そしてラストまでの伏線が美しすぎる。展開の反転繰り返しは勿論、空での再会という偶然までの積み重ねが凄い。天国は空にあって善い人間がいける場所、という雑談から、反AI陣営所有物のノマドを舞台に据えジョシュアとAI機体マヤを再会させるという。
 ジョシュアが祈りと愛でマヤのチップを子に託し、アルフィーが合理に反して感情的に母のアバターを引き出し(しかし“起動”は間に合わず)、ジョシュアが親としてアルフィーを守った末に最期の時をノマドという天国で過ごす頃にマヤが目を覚まして短期間の起動時間をフルに使って再会できた。
 この偶然は合理に反した愛と祈りで起きるわけで、これこそが奇跡なんだろう。そして冒頭兵士の様子よりチップ起動時は何よりも大切なもの以外考えられないらしいことと、眠っている時点のマヤはジョシュアの潜入を知っていることから、身分が偽りと知った上で何よりも愛が先行してあの抱擁と分かる。構成に脱帽。
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