はやし

違国日記のはやしのレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
3.5
コミュ力に問題のある槙生とある日全てを失ってしまった朝の同居ストーリー。最初は一触即発といえる緊張感の中で2人の生活が始まるのかと思いきや、とても和やかな空気の中での始まり。ここまで、からっとした人間関係を描いていくのはヤマシタトモコ氏っぽかった。 
このふたり、絶対的に大人と子供なんだよなあ。まきおは大人のドライな理屈を述べるがそれがお母さんとは違うと納得いかない朝。一方朝はまだまだ光溢れる子供の世界に生きていて、「皆」がいる世界に生きている。この、まきおと朝のいる世界がどうしても噛み合わないから、異国日記なのかなあと思った。

おそらく、これは見る年代によって誰に感情移入をするか変わってくると思うが、私はまきおの心情に入れ込んだ。
彼女は年齢こそアラフォーだけど、まだまだ大人になりきれていない女性として書かれている。それが荒れた家だったり不器用でコミュニケーションがおぼつかなかったりする部分なんだろうけど、話はそれの克服ではなく「そういう欠けたものを抱えた人間はどう生きてゆくのか」を描いたのが、本作だと思う。
だから大人として欠けているまきおが、家族が欠けてしまった朝と一緒になるとはとても自然なことなのではないかと思った。
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