Jellyfish

違国日記のJellyfishのレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
5.0
ある女性の死について、その女性の娘と妹がそれぞれにケリをつけるまでの物語。原作は同名コミック (未読)。新垣結衣 主演と聞いて、昨年の『正欲』のような重苦しい話かと危惧していたが、予想は良い方向に外れる。

バサバサ髪の引きこもり漫画家 (マキオ) の 新垣結衣 と中性的でちっちゃな高校生 (アサ) の 早瀬憩、この二人の佇まいと距離感が良い。マキオが葬式でアサを引き取ると宣言するシーンとか、アサが卒業式に参加ぜず帰ってしまうシーンとか、冒頭からもうやられる。アサの視点で時々挿入される心象風景が切ない。

それにしてもこの映画、男性の影が薄い。まず、事故で死んだ父親について一切触れられることが無い。ストーリーに絡むセリフのある男性は3、4人しかいないし、その登場時間も短い。
アサの友達も女の子しか登場しない。彼女たちの付かず離れずの関係がまた良いのだが、かと言ってよくあるシスターフッドな話という感じでもなく、テーマはもっとパーソナルかつジェネリックで、「生きづらさ」という便利な言葉では表したくはない何か。

ふわっとしたラストが良い。蓋を開けてみればの違国日記。そうなのだ、素直に泣けるようになるまでには意外と時間がかかるものなのだ。
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