このレビューはネタバレを含みます
宮城県石巻市の離島を舞台に、漁師の兄弟と東京から来た漫画家の奇妙な共同生活と家族の再生を描いたヒューマンドラマ。
タイトルだけみて、「田舎の町おこし的なキャラクターのYoutube的な話かな?」「オール宮城ロケだし一応見ておくか?」
くらいの軽いノリで見にいったけどなかなかどうしての作品…
コメディタッチの前半からきちんと張られた伏線、次第にそれぞれのキャラクターが抱える苦悩が辛く切なく描かれる。
今作が初長編作品となった庄司輝秋監督だが、自身の故郷石巻で見事にその才能を発揮した。
この作品は石巻の離島が舞台でなければいけないし、ホヤをテーマにしたストーリーでなければならなかった。
決してタイトルは奇をてらったものではなく必然で見た後では「さよなら ほやマン」しかなかったと思う。
時折入るアニメーション、特に津波のシーンの表現は素晴らしかった!
あのアニメーション結構手間暇掛かってて妥協なく仕上がてるなと感じた。
タイトルだけで軽くみて他にも見たい映画があったので後回しになってしまってごめんなさいという感じ
それでも上映期間に間に合って劇場で見られて良かった。
主演のMOROHAのアフロのアキラは素人臭い演技だけどだがそれがいい!
逆に弟のシゲルを演じた黒崎煌代は、朝ドラ「ブギウギ」同様の障害者役(こちらの撮影が先)だけど、初めて菅田将暉を見た時のような衝撃的な演技だった。
美晴役の呉城久美もやさぐれた感じと後半は母性を感じさせる演技が良かった。
あと何と言っても作品、役を選ばない津田寛治!最近は大河ドラマ「どうする家康」ではマユゲの上杉景勝、映画「首」で印象的な名もなき農民を演じ、今作では主人公アキラの叔父
どれも素晴らしく職人だなぁと思わせる俳優だ。
全宮後県民にはお勧めです。他県の方はそれほどでもないかもしれませんが…
劇場での上映も終わりですが、もし見る機会があれば騙されたと思って観ることをお勧めします!
※ほやドルやほや好きマスコットが出る隙は一分もない映画でした。