本当の悪魔を追いつめろ。
キム・ジェフン監督、チャン・ドンユン、オ・デファン主演による韓国製作のスリラー。
連続殺人鬼を追い詰めた刑事が目を覚ますと、殺人鬼と身体が入れ替わってしまった姿を描く。
主人公となるサイコパス殺人鬼のジニョクをドンユン、事件を追う刑事のジェファンをデファンが演じているほか、チェ・グィファ、チャン・ジェホ等が登場。
物語は、サイケなペイントを施した犯罪グループと思しきアジトに刑事が一人踏み込むシーンでスタートするため、その映像のインパクトは抜群。
その後、殺人鬼と警察の追いつ追われつの展開となるのだが、序盤から派手なカークラッシュがあったのは流石韓国作品と言えるもの。
何より、本作品の最大の肝は、その逃走劇の果てにジニョクとジェファンが姿を消し、一ヶ月後に見つかったジニョクとジェファンが目を覚ますと、それぞれ中身が入れ替わっていたというエンタメ感溢れる設定。
こう書くと、ファンタジー色が強目になることが往々にしてあるものの、本作品ではそちらに振ることは一切なく、あくまでもシリアス路線を貫いており、その入れ替わりの真相が徐々に暴かれていく展開に。
また、これまた韓国作品にありがちなコメディリリーフ的なキャラクターはおらず、はたまたヒロインも登場せず、ほぼほぼ男性ばかりの絵面で、かなり硬派な作風になっていたと同時に、同じく犯罪者としてドンユンが登場するキム・ホンソン監督『オオカミ狩り』の制作会社が入っていることから、アクションはもとより容赦ない描写も多いため、苦手な人は注意が必要。
クルマ好きの視点からすると、ジェファンの愛車が日本では未導入であるシボレーのSUV・エクイノックスと思しきクルマであったのは見逃せないポイント。
何はともあれ、入れ替わった二人の立ち振る舞いに魅了かつ困惑されること請け合いであり、終盤にはオッとなったと思ったら、そのままオオッ、オットットとなって一気にラストへ突き進んでいく展開に頭がフル回転するとともに、日本版リメイクがあるとするならば、殺人鬼には横浜流星か山田裕貴、刑事には飯尾和樹か児嶋一哉をキャスティングしたい一作。
急ぐ時ほど慎重に。