垂直落下式サミング

変な家の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
3.0
映画館でみた映画がつまんねえと、背もたれに体重をあずけながら、指で前髪をくしゅくしゅする癖がある。くせっ毛がチリチリになっちゃって、このまま禿げたらどうしてくれるのかしら。
なにやら、原作者もご立腹らしく、確かにヒデー出来映え。家の間取りから、ある恐ろしい疑惑が浮かび上がってくるところは面白かったのだが、そのあとはちょっと看過できない展開が続く。
ミステリーな原作を下敷きにしてるだけはあって、次々に明かされる真実に驚きはするんだけれど、ホラー的な見せ場を作るために脚色した綱渡りが鼻につく。
原作のキモは安楽椅子探偵ものの面白さですから、図面や文字の情報から創造力を働かせて事実に迫っていくスリルが売りだったのに、実際に問題の家に行っちゃいましょうってアグレッシブさを発揮し出したあたりから、雲行きが怪しくなってくる。
てか、売られている家なんだから、忍び込まなくてもよくない?内見に同行して、片方が不動産会社の人の気を引いてるうちに撮影とかすればいいじゃんね?
特に後半のひどさは…。栗原さんが合流するところとかも謎だったもんな。その部屋で喋ってちゃあまずいんじゃないの?敵地の真ん中で講釈垂れるよりも、まず動いたほうがよいのではなくって?ホラーならホラーとして、しっかり納得のいくものを作ってほしかった。
ついに一族の因習が主人公たちに牙をむくのだけど、左手を祀ってある祭壇を倒したら、お面軍団が謎に無力化されちゃったりして、これどうなのかしら?呪いを信じてるゆえに、めっちゃ怖がってパニックになるとかならわかるんだけれど、なんか急に一歩ひいて呻きながらふらふらしはじめるのよね。すっげえ不自然ってか、書き割りってか、段取り臭い。NPCなの?
酷さが極まってるのが、チェンソーばばあレザーフェイス。意味がなさすぎて、ヒデーもんだった。あれはやり過ごすんじゃなくて、突破しなきゃいけないイベントのはずなのに、どうやって切り抜けたのかわかんないまんま外に出て来ちゃうし、ババアの安否も不明だしさ。
総評として面白くはなかったけれど、川栄の顔ファンだから不思議と満足度は高め。ちっちゃい将棋の駒を逆さにしたような輪郭の女の子がおらぁでえ好きだ。スカッとジャパンの悪女役で人気を博した演技力で、物語を引っ張ってくれる。間宮祥太朗も好きな俳優だし、佐藤二朗の解釈違い上等な友人の栗原さんについては、オリジナルな役作りを軸にしていて中途半端に寄せてないところには好感をもった。