冒頭からカメラが固定ではなくて一定の距離感でわざと揺れながら撮っているなと思っていた。それが物語の展開が生み出す苦しさや葛藤であり、わからず、理解できそうで、だけど彼女の気持ちを少しだけ共感性を観客に強く持たせる大きな仕組みになっていた。
韓国では宗教、罪と贖罪をテーマにしたサスペンス映画は沢山あるが、この映画は不思議なインパクトと光のような希望もありつつ、現実で本当に生きている人の矛盾した本音と弱さを描いている映画だった。
〈許す〉という行為が、できたとしたらどれだけ心理的に救われるのか、しかし〈許さない〉という行為自体もそれだけの意志があり、ある種の選んだ本当の選択ではないか、と思う。
この映画を見ている私と彼女をただ傍観者であるソン・ガンホが演じるジョンチャンという役も同じ立場でしかなくて、見守り、そこに“いる”ことはできるけど彼女の感情を完全に理解することは決してないだろう