げ

プリシラのげのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.5
プリシラが終始可愛くて、画面も華やかで衣装もおしゃれで見ていて楽しい映画だった。主人公が袋小路に自ら駆け込んでいく感覚がずっとあるため、ストレスは溜まる。

いの一番に書いたがプリシラが本当に最初から最後まで可愛かったので、エルヴィスのおしまいな面(そもそも14歳に手を出す大人、その時点でおしまいである)が見えるたびに従うな!!逃げろ!!!そいつと次会うときは法廷だ!!!と勝手に親面してしまっていた。でもそのエルヴィスという男もさすがにスーパースターなだけあって正直魅力的なのだ。たしかに才能があってかっこよくてスマートでいろいろな遊びを知っていて圧倒的に大人に見える人が自分にだけ弱さを見せて縋ってきたら骨抜きになっちゃうよね…とめろつく自分や健気なプリシラに心を寄せる自分がいた。一方薬漬けかと思ったら今度はスピリチュアルか…あっこの男今自分の空虚を認めたくなくて理解はしていないが含蓄に満ちていそうに聞こえる言葉に感銘受けたみたいな顔してるぞ…とひどく冷静に現状分析(あるいはエルヴィスへの悪口の羅列)をする自分もいた。色々な感情で頭を抱えながら鑑賞した。そしてこれだけ感情を揺さぶられているあたりよくできた作品だったのだと思う。

断片的に散らばる輝くような幸福に目が眩むが、これは引きで見るなら破滅的な恋愛の物語。ただ、エルヴィスとの出会いによって学力も家族も自身の居場所も投げ捨てた彼女が、最後には自分で進む道を選び取れたことにその強さと成長を感じられて、勝手に彼女の側に立っていた自分にとってはそれがとても嬉しかった。
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