げ

カラーパープルのげのネタバレレビュー・内容・結末

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

知識不足が要因だと思うが始まってしばらくは状況が微妙に飲み込めないところがあった。ただ歌声の力強さには最初から圧巻された。
セリーの置かれた状況は本当に最悪で、まんまとのせられるタイプなのでずーっとミスターにはキレていたし、正直ミスターは最終的には死ぬのかなと思って見ていた。だがそんなことはなく、彼は悔い改め赦されるという結末を迎えた。この点に、この物語の主人公がソフィアやシュグやネティではなく、セリーであるということの意味を感じた。セリー以外の面々、つまりは戦うことをやめなかった女、奔放だが自力で夢を叶えた女、時代に翻弄されながら姉を追い求めた女、彼女たちのいずれかを主人公に据えた方が物語としては起伏が生まれるのだろうと思う。けれど、暴力で男に従わされ続けた彼女が、彼女が愛し彼女を愛した女たちの力を借りて自分の足で立つことを覚える物語としたことで、この物語はより広く人を勇気づけるものとなり、そして女だけでなくあらゆる人を尊重するものとなったのではないかな。

誰もが戦う力を最初から備えているわけではない。けれど、それぞれが持っている力を少しずつ分け合うことで状況を変えられることがあるかもしれない。力強い音楽と懸命な彼女たちの姿に、そう感じさせられた。
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