ねぎおSTOPWAR

月のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.0
石井監督、まーたとんでもない映画作りましたねー。
公開時期が「愛にイナズマ」ともろかぶりですが、これがあったからご自身の精神バランスが発動したかなって。「愛に・・」のほうはかなり遊んだというか笑わせる部分を多くしたのかなって想像します。

・・ってことは、今作相当に濃く、考えさせられますよ!!

「生きる」それはつまり「死」であり、「なぜ生まれてきた?」「人間って何?」・・と思考は進みます。
デビュー以来石井監督のこの思考はストーリーやセリフを通して観客にビシビシ投げかけられてきました。
ある種それはここに極まれり。

原作は辺見庸さんの「月」。
『さとくんが19人もの障碍者を施設で殺した・・その極端な思想とは・・』
・・という感じだそうですが、原作未読で、どのあたりが脚色なのかは判然としません。すみません。

おそらく・・おそらくですよ、実際の事件を元にしたであろう〈さとくんの極端な思想〉と、ある過去を持つ作家ようこ(宮沢りえ)との《対立》で”命”について考えさせる構造。これは創作かしら。

出生前診断・・「異常が発見された場合9割を越える夫婦が中絶を選ぶんだって・・」というオダギリジョーのセリフは極めて普通の会話のようで、その恐ろしさは本編中徐々に増していきます。


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オダギリジョーさんは石井さん作品の常連。
宮沢りえ、二階堂ふみ、磯村隼人のお三人は初??
まあこの方々は何も言わなくても演技プランと心情は作ってこられる役者さんたちですが、いつも以上に狂気の世界の住人でしたねー。
石井さんが書く脚本だと特に二階堂さんのようこ役は本当に気色悪い人間になるわけです。石井さんの過去作でのみなさんがそうであるようにね‼️

カメラがいつもよりも存在感を発揮します。石井映画って比較的あまり凝ったことしない印象ですが、今回はカメラを右に倒してました。何度も。
心が壊れそうになる時・・だけじゃなく使ってたかな。なにせ話が重いからグーーっと集中するところ、アクセントになっていました。
また、相手と話す時そのビジュアルが自分になるという演出も二回(と記憶しています)。これは観客に「あなたはどうなの??」と問いかけるのに有効な手段。
残酷な描写は相当オミットしましたね。韓国映画ならスプラッター行きであろう・・🤭


気軽な作品じゃないけど必見だと思いますよ‼️