EditingTellUs

月のEditingTellUsのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.2
声を発することができない、身体が動かせない、自分で食事も取ることもできない。自分の意思を表現することができない人は人なのか。
出生前診断でお腹の子に異変があると知った人が中絶をする割合は約90%。
お腹の中の子供は人なのか。
命の価値。あの人は自分とは違う。
誰が決めるのか。
実際に起きた事件を元にした小説を映画化。

石井裕也が新たな次元へと踏うみ出した足跡がくっきりと見えた。
見せる映画から、見せない映画へ。
どうやって必要な情報を伝えるかを考えるのではなく、どうやって不必要な情報を伝えないかを考えているのだろう。
観ている人が普段生きていて隠したい部分に刃を向けるのは、不自然さのアンサンブル。
異様なダッチアングル、耳障りな環境音、混乱させるレンズワーク、悍ましいライティング。

フィクションに大きく振る場面も少なくなく、だからこそより観る側のノンフィクションをえぐる。
観たその日の夜は寝つきが浅かった。
EditingTellUs

EditingTellUs