すみ

月のすみのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

言葉にならない。この作品に対して、自分の中で安易に結論を出してありきたりな言葉で纏めていけない。ずっと考え続けなければいけないと思った。

結末を知っているから、どんな事件が起きるかは分かってる。事前のあらすじや予告を見てなんとなく問いかけられるものも予想がつく。なのに、揺さぶられて、突きつけられて、問いかけられて、見終わった後は何故か涙が出てきてしまった。
不都合に対して綺麗に説明できないから綺麗事で、それでいて理屈なく信じて縋っていいのが綺麗事だとも思う。綺麗事は矛盾してることを知った。

さとくんの正義感や優しさは誰しもが持つもので、有るべき場所ならほどよく丸みを帯びてきっと誰のことも傷つけずにいられたはず。なのに、矛盾を孕んだ環境の中にいるうちに尖って本当に人を殺めてしまった。正常でいることが異常な環境で。(葉っぱもあるか)

「子供が障害を持ってると分かった96%が中絶をする。」
人間を人間たらしめるものはなんだろうか。心か、身体か、誰かに必要とされていることか。さとくんが恋人に言った「愛してる」と、洋子と昌平が言った「好きです」の意味をずっと考えてる。さとくんの恋人は全てを知った時、どんな気持ちになるんだろう。
キャスト全員演技派で、宮沢りえの葛藤と揺れ、オダジョーの純粋さ、二階堂ふみと磯村勇斗の危うさなんかがひしひしと伝わってきた。
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