と

月のとのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
1.0
極端な例を詰め込んだんだろうなっていう内容と、ホラー寄りのBGMや照明でひたすら暗さを演出してて、差別を助長しかねない作品だなと思った。所々にシーンと関係なく画面を這う黒い影(蜘蛛?)や変なカメラワークもあり。施設の入り口付近にムカデかミミズみたいなのが這ってるシーンなんて施設(と障害者)のイメージを下げる装置以外のなにものでもないでしょ。
施設で暮らす障害者たちの日常やその家族の描写がほとんどなかったのも残念。かといって犯人の生い立ちを描くわけでもなく、主人公が施設で働き始めた一発屋の小説家と売れないアニメ作家の夫婦って、テーマに対してノイズが多くない?今思えば施設の職員みんな性格悪いし二階堂ふみの家庭事情も難ありだし、健常者の方が生きる価値ないってことが言いたかったのかな。とにかく、この作品において障害のある人たちが当事者として描かれていなかったのがモヤモヤの原因かも。
全編通してあなたも差別してませんか?と問いかけられてる印象も受けたけど、ネガティブな感情を持つことと、その感情をもとに相手を傷つける行動を起こすことには雲泥の差があると思っているので、この作品から得られるものは何もなかったように思う。ただ、差別を助長しそうという1点を除いて不条理サスペンス(?)として捉えるのであれば、見応えはあった。
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