うりぼー

月のうりぼーのネタバレレビュー・内容・結末

(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

2時間半近くの映画だったけど、この内容を描くには2時間半が必要なんだろうなあと思った、
一瞬だったという感じではなかったし、どんどん話が進んでいく感覚はなかったけれど、この描写っていらなかったよな、と思うシーンはそんなになかったと思う。
強いて言うなら
オダギリジョーがさとくんと飲んでてブチ切れた後顔を怪我して帰ってきたけど、さとくんが殴り返したにしてはさとくんの人格?的にあんまりピントは来なかった。普通にムカついたからやり返しただけなのか?
あとは2回ほどカメラワークに疑問を持った点があったけれど、元々考察があまり得意では無いのでそんなに引っ掛かりはしなかった。

4人で飲み会のシーンは眉間にしわを寄せて何回もため息が出たし、
宮沢りえさんと磯村さんの持論爆発大会のシーンは特別分かりやすい盛り上がりな場面では無いけれど、見入ってしまった。

このテーマについて話すには個人的に相当な体力と頭を使うし、相手も選ぶ。
正直犯人に対して100%同情がないかと言われたらそうでも無い自分が悔しい気もするし、少なからずその考えが浮かぶのに対して共感ができてしまいそうな自分が怖くもなる映画だった。
深く考えて犯人を否定すればするほど、でももしこうだったら?自分がその立場だったら?本当にそう考えられる?と色んな ? が出てくる感じだった。
心があるかないか、その感覚は正直わかってしまうような気がしてこわかった。
そんなのは当事者にしか分からないことだし、こちらから判断するには限界があって、
医療のことは何も知らないけど、もしかしたら診断も決めつけなのかもしれない。
でもそれをどうやって感じ取ればいいのか、それはこの映画を見終わったあとでも分からないままで、この先もずっと分からないんだろうなあと思う。なんならわかったところで感もある。
でも家族を失った人の叫びを聞いて、本人がどんな状況でも、やっぱり悲しむ人はいることを感じて苦しくなった。
答えを出すのが本当に難しい映画で、
ただ見ている立場からすればそんなことをするなんて、って思えるけれど、
自分がもしなんらかの形でこれと同じ状況になったら?正気を保っていられるか、逃げ出さずにいられるか、
今の私は無理だと思った。
ただそこで心の中で殺してしまうか、実際に殺してしまうか、
当たり前のことだけれど、結論そこが大きな違いなんだとおもった。
この人にもきっと生きている意味があって、家族がいる、悲しむ人がいる、これからのことを望む人がいるということをハッと思い出せるような人間でありたいと思った。
その判断ができないくらいにまで正気を無くしてしまう状況は恐ろしいけれど、
人としてのせめてもの常識だったり、情は、失いたくないものだと強く感じた。
まあこれもサトちゃんからしたら死ぬほど綺麗事なんだろうけど!!!実際そうだけど!!そうとしか今は言えない!!

けれど結局1番人間としての理性や心を失ってしまったのは、サトちゃんだったのかなあとも思った。
本当に介護士、看護師の方や、実際のヘルパーさんたちに感謝です。もちろん家庭介護、看護の方々も。

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