さうすぽー

AKIRA 4Kリマスター版のさうすぽーのレビュー・感想・評価

AKIRA 4Kリマスター版(1988年製作の映画)
5.0
(以前他のレビューサイトに載せたものから少し改変してアップしています。)


30年以上前の1988年に公開された作品ですが、今観ても全く色褪せないのは本当に凄いですね。
これを当時初めてスクリーンで観た人はどれくらい感動したのでしょうか?

自分は今回4Kリマスターで観終えた時、席から数分間立てなかったです。

さて、この映画のどういう所が好きかと問われたら何個も出てくるので非常に迷います(笑)

しかし一番に語らないといけないと思うのが、この圧倒的に格好良くてかつ非常に緻密な作画だと思います。

特に冒頭のバイクの暴走シーンは本当にスタイリッシュですし、セル画による迫力あるアクションシーンや爆発シーン等、他にも見所は満載です。
「レディ・プレイヤー1」にも出てきた金田のバイクもカッコいいですね!
ちなみに中盤で鉄雄が大砲の弾を空中で止めるシーンは、キアヌ・リーヴスの「マトリックス」にも影響を与えています。

また、大友監督は背景も素晴らしいです。
ディストピア系の映画だと背景が暗い時が多いのですが、これは都市のネオン等が実にカラフルです。
また、冒頭の摩天楼のカットは奥行きがありますし、よく見るとビルの窓の一つ一つも細かく描かれています。
通常のアニメだと灯りしか描かれないのが殆どですが、この作品では窓の中にカーテンやデスク等も映しており、とても他のアニメでは観られない緻密な作画が観ることが出来ます。

なお、AKIRAの原画スタッフのそうそうたる方達がいらっしゃいます。

・今敏や押井守作品の原画を担当し、カリスマアニメーターと呼ばれてる井上俊之氏
・「人狼」の監督や攻殻機動隊のキャラデザを手掛けた沖浦啓之氏
・京アニ全スタッフの師匠として、亡くなるまで支え続けた木上益治氏
・宇多田ヒカルのPV等も手掛けた素晴らしいイラストレーターの田中達之氏
・「若おかみは小学生」監督の高坂希太郎氏
・「ガリレイドンナ」監督の梅津泰臣氏

更に美術スタッフに、ufotableで「Fate」シリーズで写実的な背景美術を書いている海老沢一男氏という、
この素晴らしい方達を集めてあの緻密な作画が作られていますが、それでも大友監督の要望についていくのに苦労したそうです(笑)

ただ今回はIMAXで巨大なスクリーンに元々対応してなかったからか、少しボヤけてる箇所もありましたが、それを気にならないくらい他の演出や作画が素晴らしいので非常に満足でした!

そして、今回はリマスター版ということもあって音響が非常に良かった!
今まで少し弱く感じていた爆発音含めた効果音が圧倒的に綺麗になっていました。
リマスター版の裏話によると、今回音楽を全て一から録り直しているそうです!
音楽のアレンジをそのままに、新しい音で収録した上にハイレゾで収録されたという話です。これがIMAXの音響が対応してるのかは解りませんが、とりあえずIMAXの素晴らしい音響設備には相当適していたと思います。

音楽は、サイバーパンクなのに電子音を駆使したテクノサウンドではなく竹やガムラン等のケチャを駆使した生音というのも独特です。

哲学的なストーリーやキャラクターについても素晴らしいのですが、語りだしたら切りが無いですね。

とにかく、この映画を巨大なスクリーンで極上の音響設備で観れて本当に良かったです!
AKIRAを観るために高い料金を払いましたが、高く払ったかいがありました。