くさむすび

甘い人生のくさむすびのレビュー・感想・評価

甘い人生(2005年製作の映画)
4.7
邦題は『甘い人生』だけど、英題は『A Bittersweet Life』。英題の方が今作には合ってる。

キム・ジウン監督、今作は心情描写の積み重ねが良かった。ヒスに対する視線で目を奪われていることを悟らせたり、今後一切会わないことを促すシーンで言われた「忘れることなんてできない」という台詞を受けてのソヌの顔は彼が本当に恋をしてこなかったことが分かる。これらの一連の流れが本当に良い。
煽り運転された後やり返さずに踏みとどまるが、結局迷った挙句やり返すというのも普段冷徹な彼の感情に任せて動き始めてしまう瞬間となっていて丁寧。台詞に頼らずイ・ビョンホンの顔と行動で分からせていくのが素晴らしい。
終盤ソヌが上を向いた時に葉が揺れている描写があったけど、冒頭に流れた「揺れているのは風でも枝でもなくて、お前の心」という台詞に上手く誘導されるような設計になっている。ここで今作はラブストーリーなんだなと強く思わされた。裏社会に足を踏み入れた人間は一つの優しさが命取りになる。その残酷さを銃撃戦や拷問含め描き出す傑作でした。
くさむすび

くさむすび