真一

国葬の日の真一のレビュー・感想・評価

国葬の日(2023年製作の映画)
3.8
 「国葬?うーん、どちらかと言えば賛成かな。私はね」
 「政治は詳しくないし、あまり関心ないです」

 故安倍晋三元首相の国葬🇯🇵の賛否に関する「街角の声」を、ひたすら並べただけの風変わりなドキュメンタリー🎥。平均値を取ると、ほぼ上記の2ケースに落ち着くのではないかという印象を受けました。

 単にそれだけの内容だが、結構面白い🤭。「国論を二分した」⚔️と言われたのに、大多数の人は「無関心」または「何となく賛成」で、一部の人だけが「断固反対」を訴えている事実が浮かび上がったからだ。もちろん本作品だけで世論は測れないが、インタビュー🎙️は北海道、福島、東京、静岡、奈良、広島、長崎、沖縄など各地🗾で実施しており、それなりの方向性は示せていると思う。

※以下、ネタバレ含みます。

 とにかく賛成理由が興味深い。

 「安倍さんは私が子どもの頃👶から総理でした。親近感があります」
 「安倍さんは、外国に行くと各国元首が近づいてくる。さすがだ」
 「安倍さんは、いい人そうだから。よく知らないけれど」

 いやはや、軽いノリ。
 まさに「ニッポン🎌、ここにあり!」という感じ。

 賛成理由として「国が決めたのだから、賛成するのは当然だろう」という声もあり、興味を引いた。その人は「選挙で選ばれた政権の決定を支持するのが民主主義だ」という趣旨の主張をしていた。「正当な選挙✴️で選ばれたのだから、ヒトラー👹を支持するのは当然だ」というナチス支持者の主張を思い出す。

 もちろん、反対派のデモや集会も収録しています。いつもの「国葬反対」「憲法壊すな」のシュプレヒコールが響き、「毎度おなじみ」感が漂う。そのスピーカー音🔉が、フワフワとしたノリで国葬を支持する人や、何の関心も寄せない人に届いているとは、とても思えません。この状態を「分断」と言うなら、確かに多数派と少数派の間の「分断」は、あると思う。

 これぞ、等身大のニッポン🇯🇵。特徴を一言で言い表すなら「主権在民精神の欠如」と「寄らば大樹の陰」。これに尽きるでしょう。お国🇯🇵や社会の権威🏯に従う一方、それらに歯向かう少数者🧍‍♂️には苛立ちを覚える日本のマジョリティー👥👥👥。「民主主義とは何か」「主権在民をどう行使するか」について、私たちは何も学ばずに来たから、仕方ないかもです。

 本作品は客観性を重視しているが、ターゲット層は、どう考えてもリベラル系の有権者だ。同じくリベラル系の大島監督から「私たちの声は、日本社会のコア層👥に届いていない」と教えられた気がした。胸くその悪い現実💀を突き付けられた思いがします。そうした意味において、面白い作品🎬️だったと言えます。
 
 なお、国葬に関心のない方や国葬に賛成の方、国葬に異論を唱える理由が分からないという方には、これほどつまらないドキュメンタリー作品🎥はないと思います。お勧めしません。
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