あまのうずめ

我が人生最悪の時 4K デジタルリマスター版のあまのうずめのレビュー・感想・評価

3.6
横浜日劇2階に居を構える私立探偵濱マイク。拘置所時代からの悪友と麻雀荘にいる時絡まれているボーイの台湾人楊を助けに入り小指を切り落とされる。楊はマイクが詫びのお金を受け取らないので、代わりにこのお金で兄を探して欲しいと頼む。横浜では台湾と香港のマフィアが抗争を起こそうとしていた。


▶︎テレビドラマシリーズだったらしい『私立探偵濱マイク』シリーズの映画三部作の一作目。『夢みるように眠りたい』でデビューし注目されることになった鬼才・林海象監督がまたモノクロで撮っている。

エンドクレジットには今は監督としてお馴染みの大森立嗣の名があり父麿赤兒とのW出演となっている他、助監督には行定勲、美術は鈴木清順監督作でもお馴染みの木村威夫の名も連なっていた。友人で情報屋にナンチャン、宍戸錠が本人名でマイクの師匠役、もぎりのおばさんのアサ役に千石規子と日活映画で名を馳せた人たちも出演してた。

マイクの人探しとマフィアの抗争に巻き込まれ立ち回る姿を、取り巻く人たちと共に描き、映像にハレーション画面や一部色付きの画面を加える等のオマージュも取り入れている。

昭和中期と思わせる舞台で昭和中期っぽいベタなストーリーを、スタイリッシュな永瀬正敏を当てて作った世界に心地良く酔わせてくれた。特にアサが「映画を観る余裕も無いのか」とのセリフは自身を顧みさせてくれる刺さる言葉だった。

エンタメと作家性、両方叶えた作品だと思う。