あまのうずめ

遥かな時代の階段を 4K デジタルリマスター版のあまのうずめのレビュー・感想・評価

3.7
横浜日劇2階に居を構える私立探偵の濱マイクは妹の茜を大学に入れる為奮闘している。妹には親は死んだと聞かせていたが、実は兄妹を捨てて姿を消していた。そんな母リリーが街に戻ったと聞き、母のいるストリップ劇場を訪ね妹には会うなと釘を刺して去る。街に流れる大岡川では犯罪が横行しているが、どこも管轄外だと言い捜査はされていなかった。


▶︎『私立探偵濱マイク』シリーズ三部作の二作目。一作目では台湾と香港マフィアの抗争を絡め、今作では大岡川に絡む事件と川に残る "白い男" の伝説、そしてマイクの出生の秘密についてを描いている。

前作ではモノクロだったが今作はカラーになっている。主要人物は引き続き出演しており、見つけられ無かったが崔洋一も出演とのクレジットがあった。

母役の鰐淵晴子の美しさがハンパ無くそれだけで眼福ものだが、ラスト近くに見せるゾーンが幽玄な世界観で、林監督のデビュー作『夢みるように眠りたい』に色を付けたかの様であった。

印象的だったのは音響で旧式の銃の引き金を引く音、シリンダー?を回す音の再現度にゾクっとさせられスリリングなシーンを盛り上げている。

白川和子、岡田英次、坂本スミ子の出演はGHQ占領後からの横浜の歴史を描くにベストキャスティング。痺れるシーンの多さからも前作を上回っていた。

林海象監督のカウントダウンまであと一作。