エイプリル

月面着陸のエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

月面着陸(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

宇宙ものとは分かっていましたが、想像していたよりも地に足のついた話でした。
前情報では「ダリオの性格にイライラする」と聞いてたんですが、個人的にはあんまりその辺は気になりませんでした。どちらかというと久々の再会で距離詰めまくりしゃべりまくりのマリオの方がいつ怒られるかと見ててヒヤヒヤしました。ただこれ、マリオはマリオで「兄と昔のようにしゃべりたい」「ちゃんとした兄弟を取り戻したい」という一心で無理してしゃべりまくってたってことが終盤で察せるようになってて、その辺りもかなり好みでした。

対するダリオは父親の夢を呪いのように背負ってるんですが、結局その呪いが幻想であることがわかってしまって、最終的には父の幻想が消えても夢を追い続けられるのか?ということがテーマになってきます。初めはそれができなくなって、施設の人と一緒になって月面着陸の夢を笑っちゃったりもするんですが、このシーンかなり悲しかったです。
最後は「父の呪縛から始まったものでも自分の人生と夢にできた」っていうオチなので、悲しいまま終わらなかったのもよかったです。実際にあの打ち上げが成功したかどうかは作中で語られないまま終わるんですが、夢がロケット墜落で終わったとしてもダリオにとっては構わないんだろうなとも思えました。
それで、この打ち上げはかなり感動的でした。ロケット打ち上げなんて今まで映画で腐るほど見てきてるんですが、そこに人間の夢という文脈が乗っかっただけでこれだけ感動できるのかと思いました。思えば宇宙進出は人類の開拓精神の実現化で、当時初めて宇宙航行ロケットが打ち上げられたのを見た時代の人たちも同じような感動を抱いたのかなと感慨深くもなりました。

そういえば序盤のスベトラーナ、イキってた割に普通に弱くてびっくりしたんですが、後半で出てくるかと思いきや全然関わってもこないし、なんだったんだ…って思えて面白かったです。
あとは弁護士の人かなりよかったですよね。あの人真面目な仕事人に見せかけといて、ダリオが車壊したら別にそれを咎めるでもなく自分も一緒になって逃げてるし、最後には打ち上げを応援してる節もあるし、人間らしくてかなり好きでした。
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