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チャイムのbのレビュー・感想・評価

チャイム(2024年製作の映画)
3.7
空き缶を処理する時の音はCUREの空の洗濯機のような日常の中のイラつく音を表現してる
トウキョウソナタのような線路沿いの建物がメインの舞台で、常に電車の走行音が鳴っている
カフェは食器のカチャカチャ音?
Chimeというタイトル通り「音」が一つのトリガーなのだろうか(最後もガキのおもちゃの音がやけに強調されてたし)

歩いてたと思ったら急に走り出す、普通に喋ってたはずなのに急に切りつける
この映画の登場人物は情動に急激なジャンプがある(料理教室のアイツは最初からキチガイ寄りだが)
そのジャンプの理屈は「こちら側」には基本的には理解出来ない
狂気は常にシームレスに人間に接続してるけど、他者とはどうしょうもない断絶があって、キチガイの理屈は誰にも理解出来ないけど、誰しもキチガイになり得る
作中で「断絶」と「接続」がチグハグに繋がってるのが食い合わせが悪い気もするし、その歪さが世界の奇妙さそのものな気もしなくはないし
まぁ正直、この殺意の波動が伝染してく感じはCureの焼き直し感は否めないかな

・電車の窓の反射光が印象的
・大方が褒めている死体遺棄時のカメラワークは見事、ドローンなのかな?
ここは色んな意味でヤバい
殺人という狂気から、橋を歩く→徐々に走り出し、次のカットで食卓の日常のシーンに切り替わる
橋という接続のメタファーの上を走りならがら通過し日常へと回帰する
人間の狂った情動をこれ程巧みに視覚的に見せたシーンは中々見たことが無い
キチガイが全速力で無理矢理日常に回帰する
異界から日常へは全速力でないと戻れない(ここはギャグなのかもしれない)
・手垢の付いた家族の厭描写とかは、ダメな邦画みたいでなんか嫌だった、黒沢清はこんなダサい事しないで欲しい
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