このレビューはネタバレを含みます
◎『野火』と同じく、戦争の悪夢、とくに戦地において殺人を犯すことがもたらす人間性の破壊(いわゆるPSTD)がメインテーマ。
だが、脚本、構成が稚拙で、ドラマを追いにくく、訴えたいテーマも伝わりにくい。
なかでも、冒頭に、闇市娼婦のエピソードを置いた意図がよくわからない。
成功作とは言い難い。
*塚本晋也監督の『野火』(2014年)は戦争の深層からの恐怖を伝える傑作だと思うし、戦争文学の古典たる大岡昇平の原作、市川崑版(1959年版)、塚本版のいずれかに触れることを日本の全学生生徒、全成人の必須科目にすべきとさえ思うぐらいだ。
また、俳優としても、大活躍。
『シン・ゴジラ』の彼は、作品そのもののテンションもあるが、ベストアクトだと思う。