じょうパン

ナポレオンのじょうパンのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.9
なんか凄く言葉では表すのが難しい作品でした。面白くないわけではないし、かと言ってめっちゃ良かったとも言いにくいし、でも2時間38分という長い時間でも全く退屈さを感じなかったので何故こう感じたのかが不思議になる作品でした。個人的に良かったと断言できるのはこの映画の雰囲気が良かったです。なんなら好きだなぁと感じました。


⚠️ここからはネタバレありです。
私が想像していたナポレオンとは全く違いました。想像していたのはカリスマ性があり、自信に満ち溢れているイメージでしたが全くの真逆で、むしろビビリで変態だなと観ていて思いました。最初のトゥーロンの攻囲戦でかなりビビリなのが現れていましたが、どんどん戦いで結果を残していったり、皇帝になるにあたって自信があるように思えました。しかしジョゼフィーヌとの性行為で笑っていいのかは分かりませんが少しシュールだったので笑ってしまいました。つまり何を言いたいかというと、ナポレオンが後継のため一方的に子供が欲しく淡々と性行為をしていたり、最後のワーテルローの戦いで敵将に「ナポレオンはまともに戦えていない」と言われるほど焦っていたり、結局はナポレオンは生涯を通して根本の心理的な状況は皇帝になっても変わらなかったんだなと個人的には感じました。オーラがあっただけなのかなと感じました。

◻️脚本
脚本の内容は予告から想像してたものより全く違いました。ナポレオンとジョゼフィーヌの関係性が多く描かれていて、戦争というよりナポレオンの人間関係的な要素が中心の物語だなと感じました。少し足して欲しい要素としては、ナポレオンかジョゼフィーヌのどちらが不妊になる原因なのかを調べるために、18歳の女性と子作りをして妊娠しましたが、あのあと妊娠した18歳の女性や子供はどうしたのかなと思いました。また15歳の2番目の妻の関係ももうちょっと描いて欲しかったなと思いました。なので個人的には3時間くらいの尺で上映して欲しかったなと思いました。完全版の4時間版みたいなのがあるらしいのでまた観たいです。

◻️演技
ホアキン・フェニックスの演技はやっぱり上手いなと感じました。妻の浮気の事でカイロからフランスに帰り、家で妻を待っている時に召使が持ってきた飲み物をひっくり返す演技や離婚の儀式の最中にジョゼフィーヌにビンタをする演技はビックリしたので、予想外で良かったです。あと終始ハンカチを顔になすりつけて匂ったりする演技も変態で良かったです。ただビビって走って逃げているシーンはジョーカーのイメージが強く少し微妙でした。

◻️映像
まぁなんといっても映像には迫力がありました。最初のトゥーロンの攻囲戦でナポレオンの馬が打たれた映像はビックリしました。また戦争のシーンも”これぞ映画”だと思わせてくれる映像で最高でした。その中でも馬を2頭連れて凄いスピードで伝令に行くシーンで横からのカメラアングルやワークも含めて一つの絵画を観ているようでめちゃくちゃ好きでした。

◻️裏話
ナポレオンの映画はスタンリー・キューブリックが描こうとしていたらしいですが実現には至らなかったそうで、キューブリックのナポレオンも観たかったなと個人的には思いました。
ただカメラ11台で撮影したり、8000人ものエキストラを使ったりと迫力が抜群なのでこれだけでも映画館で観て良かったと思えました。

◻️まとめ
ナポレオンが生涯戦った戦争の数は61その内死者は300万人以上、最後に言った言葉はフランス・陸軍・ジョゼフィーヌという本当にこの3つの要素が描かれている作品で満足できました。またラストシーンのモスクワを焼いたのが自分自身だといい嘘がバレるシーンのダサさや少しクスッと笑えるシーンもあって良かったです。個人的に世界史が好きなので少しは知っていて作中も理解しながら観ていましたが、世界史とか歴史が嫌いな人には少し難しく向かない作品だなと思いました。
まあでもこの作品を通して歴史に興味を持ったり、悲惨な過ちを繰り返さないようにするという教訓的なものが歴史映画にはあるので観て観てもいいんじゃないかなと思いました。私はもっとナポレオンの事を知りたいなと強く思いました。
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