直撃した砲弾で軍馬の内臓が剥き出しになる冒頭からこれでもかの暴力三昧が嬉しい。楽しみにしていた甲斐がある。「グラディエーター」でのクソ野郎ホアキンも素晴らしかったけど、滑稽な哀しみ漏れまくる人間ナポレオンのホアキンもよかった。アウステルリッツ（だっけ）での氷上作戦的なシーンは「コヴェナント」でエンジニアたちが全滅する場面を思い出した。いよっリドスコ真骨頂。お粗末なセックスにシラケ顔で尻を差し出すヴァネッサカーヴィの貫禄に痺れる。信頼の下世話ぶりだけどナポレオンもジョゼフィーヌも切ない。大砲の音をバックに若い娘に産ませた長男を抱いて涙するナポレオン。英軍ルパートエヴェレットの鉄壁の戦術に背中向けて逃げ出して射抜かれる軍帽。ルパ将軍にそれ指摘されてるわ、捕虜になってんのにご馳走いただきながら敵の初年兵相手に一席ぶってるとこ、ナポレオンにやたらと厳しいリドスコのこういうとこが好き。戦地のテント群や綺麗に並んだ積み藁の空撮とかエイリアンの卵みたい。青み〜グレイがかった冷やっとした暗めの映像、豪雨から晴れ間がみえるシーン、蝋燭の仄暗い灯りや窓から差し込む自然光とかキューブリックを意識させたり。つかこのへんは「デュエリスト」からやってるか。あと並んだふたつのピラミッドの天辺が同時に吹っ飛ぶシーンはやり過ぎてて最高だし、椅子から真横に倒れる背後のラストとかコントみたいだった。あー楽しかったリドスコさいこー。随所に出てくる花瓶に生けた花や差し出す花束。派手な演出じゃないけどなんかよかった。セルトヘレナ島でホアキンのテーブルにあったマーガレットが可愛くて忘れられない。花言葉は真実の愛。
