IKUZAGIE

ナポレオンのIKUZAGIEのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.5
SF映画の金字塔『ブレードランナー』、SFホラーの金字塔『エイリアン』、第73回アカデミー賞作品賞『グラディエーター』の巨匠リドリー・スコットが描くフランスの英雄ナポレオン。これは絶対観たい。近年監督した『最後の決闘裁判』と『ハウス・オブ・グッチ』もかなり面白かったので、今回はもっと面白いに違いない…しかも主演はホアキン・フェニックス…と、超、超、チョー期待して映画館へ行きまして…。
えー、映像はすごい良かったです。まるで絵画から飛び出したようなシーンがひたすら続くので、映像だけでもそこそこ楽しめました。特にIMAXの大画面で観る戴冠式のシーンは素晴らしかった。ジャック=ルイ・ダヴィッドが描いた油彩画『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式』の映像化。絵画と同じ構図で撮影されていたのでオロオロするくらい感動しました。手前で必死にスケッチしてた人物はおそらく画家ダヴィッドであろう。ドミニク・アングルが描いた『玉座のナポレオン』の衣装もかなり忠実に再現していたように思う。可能なら一時停止してじっくり見たかった。
また、戦争シーンはどれも迫力あって良かったです。もう少し軍事の天才感が際立つシーンが欲しかったがまあいいや。あと、ナポレオンの戦争画は多数あるので、ワーテルローの戦いなんかは絵画と映画を見比べてみるのも楽しいかも知れません。
少々分からなかった点はナポレオンとジョゼフィーヌの関係性で、恋愛関係で繋がっていたのか、それとも利害関係で繋がっていたのか。30年くらい昔に読んだ下世話な偉人伝を集めた文庫本の記憶では、皇帝ナポレオンはナニが小さかったそうだ。ちょっとググってみたらその手の話はやはり多いようで、そう思って映画を思い返すと、必死のナポレオンとまるで無反応のジョゼフィーヌはそういう事なんだろうかと少々勘ぐってしまう。(そういう風に見るとちょっとおもろい)
映画ではナポレオンの半生が矢継ぎ早に進むせいか、心理描写がだいぶ希薄で、リドリー・スコットが描きたかったナポレオンの人物像がイマイチ掴めなかったです。それでも映像に関しては退屈なシーンがほとんど無かったので、つまらない映画では無かった。オススメ映画かと言われると、どうでしょう。映画ファンの方なら「リドリー・スコットだから」という理由でいづれ観るんでしょうから、ここはひとつ、折角なので映画館の大画面で。
IKUZAGIE

IKUZAGIE