ナポレオンの鹿男のネタバレレビュー・内容・結末

ホアキン・フェニックス演じるナポレオンは終始表情が固く、何を考えているのか分からない恐ろしさがあった。度々癇癪を起こして人を罵倒するのは、ナポレオンを人間として描こうとする意図があったと思う。
ヴァネッサ・カービー演じるジョゼフィーヌは気丈な女性に描かれていて、ナポレオンとの関係は愛しあうというよりお互いに依存しているように感じた。ナポレオンはジョゼフィーヌが最後には自分の下に帰ってくると信じているし、ジョゼフィーヌはナポレオンが自分に愛情を向けるのを常に待っているようにも見えた。戦闘シーンの迫力も見所だが、ナポレオンとジョゼフィーヌの不思議な関係が一番の魅力だと思う。
他のキャストではタレーランとウェリントン公が短い出番で存在感を放っていた。タレーランの歯に衣着せぬ物言いと立ち回りの上手さは十分伝わってくるし、ナポレオンと会見して暗に『あなたはもう終わりだ』と伝えるウェリントン公にゾクゾクした。