ナポレオンのような「英雄」のアイコンはこれからも時代の価値観に基づき芸術によって定期的に描かれ直されて然るべきものだなぁと。ホアキンフェニックスが主演の時点である程度人物像の方向性は想像できたけど、期待を裏切らず？ダヴィッドの描いた有名な肖像画のイメージや、偉人伝として語られるそれからかけ離れた 「疲れ」「涙」「老い」「主体性の無さ」の印象が強く残った。ナポレオンは軍事だけでなく内政の才能もあったと聞くけどそういったシーンは特にない。軍を率いているけど圧倒的な実力でのし上がっていったような描写もない。なんとなくピースがはまっただけのような。だから「罪」を裁かれる際に「果てなき野心」というワードがしっくりこなかった。最後に文字だけで説明される"ファクト"は副題の「英雄か悪魔か？」の解のように捉えるしかないと思うが、一人の人間の野心によるものではないとすると……
尺は長いけど本当にあっという間で久々にこんなにも集中力が持った。米英共作だけあって英国軍すごい！という読後感でしたね。
