千年女優

インビクタス/負けざる者たちの千年女優のレビュー・感想・評価

4.5
国家初の全人種参加選挙で人種隔離政策アパルトヘイトが撤廃された1995年の南アフリカ。反差別の闘士として活動して27年間の不当な投獄生活を経て黒人初の大統領に就任したネルソン・マンデラと当時白人のスポーツと言われていたラグビー同国代表チーム「スプリングボクス」の交流と南アフリカ開催W杯での足跡を描くドラマ映画です。

クリント・イーストウッドが史実を元にして描いた2009年公開の作品で、誰かが抱いたポジティブな感情が言動を通して他の誰かに伝わってほんの小さなそれが繰り返されることで巨大な力となり、想像も及ばない大きなことを成し遂げるまでに至る軌跡に、深い感動が込み上げ、思わず拳を突き上げずにはいられない熱い物語となっています。

不当な拘束で自由を奪われ忸怩たる思いをしながらも、決して単純な報復には走らず、寛容の精神で苦境を乗り越えていったマンデラ。それは『「目には目を」ではやがて世界は盲目となり光を失うだろう』と言ったガンジーにも通ずる崇高な理念であり、未だ完全なる解決に至らぬ差別問題の、細くとも確かで輝く糸口を感じさせる一作です。
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