RuiAuden

ニッツ・アイランド 非人間のレポートのRuiAudenのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

たとえば『レディ・プレイヤー1』は(ネタバレ→)結局のところ「ま、仮想現実も良いけど、やっぱり現実の人生を大事に生きなきゃね」という元も子もないオチに着地して見せたわけだが(この映画でそれを言ってしまうんかい!スピルバーグ!という当時の批判や落胆ももちろん理解できる)、あるオンラインゲーム内を舞台にした本作(『ウォーキング・デッド』のオンラインゲーム版のような世界)を観ると「純粋に殺しを楽しむ」者たち、独自の神を信仰しながらコミニュティを築いて生きる者たち、ゲーム内の「バグ」を利用して楽しむ「カップル」など、彼らの多種多様な価値観がゲーム内に反映されているのが分かってとても興味深い。たとえば自分もGTAは大好きだし、せめてゲームのなかくらいはモラルなど忘れて好き放題やっても良いじゃないか(そもそもゲームってそういうのを楽しむものでは?)と思うが、そんな自分でもドン引きしてしまうような「人喰い殺戮集団」のその振る舞いには思わず苦笑。その直後に流れる選曲センス(ダニエル・ジョンストン)の皮肉にも。かくも、「現実」とは何か?、そしてコロナ禍によるロックダウンの日々を思い出す(省みる)良い機会になるような傑作ドキュメンタリーだ。
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