工藤蘭丸

火の鳥 エデンの花の工藤蘭丸のレビュー・感想・評価

火の鳥 エデンの花(2023年製作の映画)
2.8
私は10代の頃は、漫画の単行本を買って読むということはほとんどなかったんだけど、唯一買って読んでいたのが手塚治虫の火の鳥シリーズでしたね。

当時は最新刊が出るのを楽しみにしながら夢中になって読んでいた覚えがあるんだけど、今度アニメが公開されるということで懐かしくなって、あらためて電子ブックで1巻から読み直してみました。

まだ全巻は読み終えてないんだけど、やはり今読んでも十分に面白いし、その壮大なスケールの構想力には感服するしかありませんね。手塚治虫は60歳の若さで亡くなってしまったので、結局このシリーズは未完に終わってしまったんだけど、もし長生きして完成させていたら、きっと世紀の大傑作になっていたんじゃないのかなと思う。

でも、映画化作品の方は、若い頃に市川菎が実写映画化した黎明編は観たことがあるんだけど、原作には及びもつかない酷い出来だったし、このアニメ作品もほとんど期待はしていませんでした。

それでも、今月一杯の無料招待券があったので、一応観てみることにしたんだけど、やはりかなり改悪されていたかな。そもそも肝心の火の鳥が飾り物にしかなってなくて、このシリーズの深淵で壮大なテーマが全く伝わって来なかったのが最悪。

ストーリーの改変で、全体的なメリハリも乏しくなってしまったし、1300年間も眠っていたにもかかわらず昔なじみのチヒロと出会うという、辻褄の合わない話にもなっていました。さらに、若返りの副作用の伏線も回収されてなかったし、ラストも唐突で、話の端折り過ぎだったかも知れませんね。