田舎から突然都市へと放り込まれた少年が、仕事場/並木道のベンチ/或いはカフェテラスで他人のチョメチョメをじっと見ている。
孤独とは、本来想定されるほど大それた感情ではなく、恐らくその見の瞬間にある。だから彼は行動を試みる。
幼い彼には人びとがチョメチョメに至るまでのコンテキストがわからず、ゆえに見たものを見たままに真似するしかない。
映画館の場面。友人が見知らぬ女性とキスする姿を目撃するが、囁いた甘言は聞き取れない。だから彼は真似をするとき、言葉を紡げない。何を言えばいいかわからない。
それら一連の行動には関係形成がないから、もちろん上手くいくなんてことはない。相手からダメと言われる。相手はダメと言うしかない。
原理的痴漢の極北。