reina

ぼくの小さな恋人たち 4Kデジタルリマスター版のreinaのレビュー・感想・評価

3.7
ジャン・ユスターシュ作品を初めて観た。
この映画祭のポスターの『ママと娼婦』の印象しか知らなかったので、『ぼくの小さな恋人たち』の素朴な撮り方や物語の進行の仕方に少し驚いた。あと視座に半ば諦めたような、もうどうにもならない事を省みるような印象を受けた。なんというか、子供時代の記憶をボーッと思い出したときの無力さ。

主人公は家庭の事情で高校進学を断念し働かざるを得なくなるのだけど、俳優の背丈や顔つきがどう見ても幼過ぎるような気がした。たばこでうっかりズボンに穴を空けてしまうシーンがある、友人が「修繕は高くつくぞ」などと言う。主人公の母は家でミシンを使っていたはず(おそらく仕事?)だけど、その後特に母にお願いすることもない。せめて聞いてみれば良いのにと思うが、そんな親子関係ではないのだろう。

教会で性的目覚めのシーンがあるけど、それ以降の数えきれないナンパ試行も映画館での見知らぬ子とのキスもハラスメント的で、「ちょっと、同意取れてる?」と心配になってしまった。もちろん、時代が違うのは重々承知している。あとまあ主人公がそこまで女の子とどうにかなりたいと必死になっているようには私には見えなかった。ただ田舎ですることもなく、仲間がやっているし真似してみるか、程度のやる気。

みじめだけど思春期ってこんな感じだったはず。
reina

reina