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夢二 4Kデジタル完全修復版のreinaのレビュー・感想・評価

夢二 4Kデジタル完全修復版(1991年製作の映画)
3.9
竹久夢二美術館に何度か足を運び彼の描く女性が好きだったのでとても観てみたかった映画。

しかし、私の想像していた夢二像と全然違うではないか!もちろん私は彼の大ファンというほどではなく、先ほどの美術館にある作品や注釈を読んだだけである。でも、彼ってこんなにも明るい人だったのだろうか。それ以上に私のイメージとかけ離れていたのは「お葉」(本名: 佐々木カネヨ)お葉さんといえばあのなんとも妖艶な少し恐いほどの魅力を放つ人の印象を持っていたのに、映画では可愛らしい、猫撫で声で甘える、やや幼い見た目の役者と演技だったので勝手にガッカリしてしまった。言ってしまえば私は夢二よりお葉さんのファンとも言えるので非常に残念であった。お葉役の方はその方なりの別の魅力があると思う。もちろん私は夢二やお葉さんを知らないのであくまでも勝手なイメージに過ぎない。

最初は沢田研二の夢二のテンションと演技法についていけるか不安だったが意外と慣れてくる。色鮮やかな女性の着物や紙風船の彩りと彼の演技がだんだん調和してくるのだ。私も着てみたい着物があった。

その姿勢、声色、立ち居振る舞いから只者ではないことが一目で分かる脇屋巴代役の毬谷友子が目を引く。指の先から足の先まで美しい所作なのだ。ただ和室で座っている後ろ姿だけで物語が書けそうなほど。後から調べて宝塚出身の方と知り合点がいった。

鮮やかでフェティッシュなシーンが多くて特に劇場で観るべき作品だと思った。竹久夢二についてもっと詳しく知ってから観直してみたい。
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