このレビューはネタバレを含みます
走ってる女性を後ろから追うショットから始まる本作。始まりからワクワクする感じでかなり好みだった。
電車でその女性が他の乗客に助けられたり、揉めてた国鉄の駅員と旅行することになったり、みんなで踊って歌ったりと物語がどの方向性に進んでいくのかまるでわからなくておもしろかった。
ロングショットのシーンが多いが、その中にある何もない時間の心地よさ。
また、主人公がいない感じ、徐々に移り変わり、関係する人々もいつの間にか増えていくのが自然でナチュラルな人間関係の形成がゆったりとした時間のなかで味わえる。
最後のシーンとみんなが楽しそうにサンバを踊るシーンが好き。
最後、騙された男が船を乗り継いで職場に間に合うかという変な展開に。知らない人なのに乗せてあげて優しいし、船の乗り継ぎなんて見たことないからすごく新鮮で面白かった。
クスクス笑えるシーンが多くて、物語としての大きな筋はないけど場面がどんどん変わっていくのが楽しく、観た後に何だか明るい気持ちになった。
大学教授の方のトークショーも面白かった。ロングショットのシーンは映画と現実世界での時間の流れが違うことを描いているというのは体感で分かっていたが、そう言われるとすごいことをやってるなと思った。長回しの何もないシーンって間が怖くならないのかな。あと、物語のハッピーエンドという終わりがなく、走りのシーンから走りのシーンで終わっていく、輪の中一部、繰り返される日常に戻っていくと言うこともなるほどと思った。