最近では『大いなる自由』で描かれていた、ドイツの同性愛を禁ずる法律と、ナチスがそれに基づいて同性愛者も収容所に送っていた事実を、数少ない生存者が語るドキュメンタリー。
『ベント 堕ちた饗宴』という有名な舞台があって、その戯曲は映画化もされているものの、昨今まったく話題にならないので、もう一度見返されてもいいのではないかと思う。収容所でユダヤ人は黄色い星の模様を付けられたのは有名だが、同性愛者はピンクの下を向いた三角形の模様だった。本作のチラシのデザインもそれがモチーフになっている。
女性の同性愛者は収容所送りを免れていて、それは「矯正が可能だから」と判断されていたのも、いい加減な偏見でしかないのがわかる。
生き残ったおじいさんの中で、当時を振り返るときに出会った同性愛者でナチスに殺されたり、その後どうなったかわからない青年について語るときに、「(出会った晩に)もちろんヤッたよ」と付け加える人がいて、明るいというか、同性愛者の肉体先行な関係性を示しているのか、こういう奇妙なことが記憶に残る。